2001 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性神経細胞浮腫、機能障害の予防・治療をめざした脳切片モデル解析の新展開
Project/Area Number |
12470317
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤原 直士 新潟大学, 医学部, 助教授 (70181419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 洋子 新潟大学, 医学部, 助手 (80018853)
瀬尾 憲司 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40242440)
多賀 紀一郎 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00163329)
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Keywords | 膜電位画像 / 神経興奮伝搬 / 脳組織切片 / 低酸素・無グルコース / 虚血耐性 / 膜電位感受性色素 / 大脳皮質 / 海馬 |
Research Abstract |
本年度はスナネズミ脳組織切片に対して、低酸素・無グルコース負荷を行った後の神経細胞障害について、光学的手法による解析を進めた。 1)海馬および大脳の組織切片を作製後、37℃で2分間、5分間または10分間の低酸素・無グルコース負荷を行った後、室温(23〜24℃)の酸素化クレブス液中で、18〜22時間保存した切片標本について、電気刺激による興奮伝搬の広がりを膜電位画像により観察した。2分間の低酸素・無グルコース負荷では、低酸素・無グルコースを負荷しない切片と同様の広範な興奮伝搬が観察された。5分間の負荷では、海馬の興奮は刺激近傍にのみ限局し、興奮の継続時間も1〜2msec以内と短く、伝搬の抑制が認められた。一方、大脳皮質の興奮伝搬は軽度の抑制にとどまったことから、海馬は大脳皮質よりも、低酸素・無グルコースにたいして脆弱であることが示唆された。10分間の負荷では、海馬、大脳皮質とも膨化が著しく(とくに、海馬では錐体細胞の破壊が観察され)、興奮伝搬はほぼ消失した。 2)低酸素・無グルコース負荷時に、麻酔薬のケタミン(10μM)、チアミラール(100μM)またはNMDA受容体チャネルブロッカーのMK-801(10μM)等を共存させると、切片の膨化が軽減し、大脳皮質切片では、負荷18-22時間後における興奮伝搬が一部維持され、低酸素・無グルコースに対するこれら麻酔薬の保護効果が認められた。 3)蛍光カルシウム指示薬Rhod-2を脳組織切片細胞内に与え、電気刺激によって誘発される細胞内遊離カルシウムイオン濃度の変化を記録した。細胞内カルシウムの上昇する領域は、興奮伝搬が観察された領域とほぼ一致しており、興奮伝搬に伴う細胞内遊離カルシウムの消長を0.6〜数msec毎の連続画像として記録することができた。 以上、脳切片における低酸素・無グルコース負荷後の神経細胞機能障害の解析と麻酔薬や保護薬等の作用について、膜電位や細胞内カルシウムの高速画像法によって検索できることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 多賀紀一郎: "脳虚血耐性発現における各種麻酔薬の影響"新潟医学会雑誌. 115. 421-427 (2001)
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[Publications] Kenji Seo: "Optical imaging of excitation propagation evoked by stimulation to the trigeminal caudalis"Neuro Report. 12. 421-427 (2001)