2000 Fiscal Year Annual Research Report
肺循環系における血管透過性亢進に関する神経回路と受容体のクローニング
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12470318
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
島田 康弘 名古屋大学, 医学部, 教授 (50028669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 直久 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80109321)
木村 智政 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50161568)
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Keywords | 神経原性肺水腫 / 肺血管透過性 / NO / 迷走神経 / フィブリン肺水腫 |
Research Abstract |
研究の進捗状況:肺血管透過性の亢進を引き起こす神経を解明するため、神経原性肺水腫モデルであるフィブリン肺水腫をラットで作成している。このモデルを使って、まず脳におけるNOの働きを調べる目的で脳脊髄液中にNO合成酵素阻害薬を投与した。その結果、迷走神経を無傷にした場合肺水腫の発生率・重症度を増加させたが、切断した場合変化しなかった。これに対してNO合成酵素の基質であるアルギニンを投与すると、迷走神経無傷では変化がなく、切断した場合肺水腫の発生率・重症度を減少させた。これらの結果から、脳におけるNOは、迷走神経と密接に関係しながら交感神経活動を抑制的に働き、その結果神経原性肺水腫を発生率・重症度ともに抑制することが示唆された。 そのため、第2ステップとして左側迷走神経切断後1,2、4週間と放置して右迷走神経切断後フィブリン肺水腫の変化について検討した。これは、左側迷走神経切断後2週間後に延髄の孤束核などの迷走神経細胞においてbNOSの発現が増加するという文献に基づくものである。2週間後では特に非常に強い抑制がみられ、発生率・重症度は共に減少した。この減少はNOSの阻害剤であるL-NAMEによって抑制されるが、異性体であるD-NAMEでは抑制されないことから、2週間後ではbNOS発現増加に伴うNO遊離の増加によって肺水腫発生を抑制することが示唆された。血管透過性の指標として測定した水腫液中の血漿に対する蛋白濃度比が切断後の日数によってほぼ一貫して増加したことと対照的であり、血管透過性神経の独立した存在を示唆している。ちなみに2週間後におけるL-NAME投与による場合水腫液・血漿蛋白濃度比は減少した。これらのことから第3ステップとして肺における気管支平滑筋収縮に基づく肺胞内圧増加および肺血管内圧増加の可能性を調べる実験を進行させている。
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[Publications] Ossama Hamdy: "Presence and quantification of neuropeptide Y in pulmonary edema fluids in rats."Experimental Lung Research. 26. 137-147 (2000)
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[Publications] Wei Liu: "4-hydroxynonenal induces a cellular redox status-related activation of the caspase cascade for apoptotic cell death."Journal of Cell Science. 113. 635-641 (2000)