2001 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリンによる持続遊離型局所麻酔薬の開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
12470323
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Research Institution | Miyazaki Medical Collage |
Principal Investigator |
高崎 真弓 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (30094212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 正彦 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (70305085)
中村 禎志 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (60217859)
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Keywords | レボブピバカイン / 局所麻酔薬 / シクロデキストリン |
Research Abstract |
ブピバカインの光学異性体であるレボブピバカイン(LB)は、局所麻酔薬の中で最も長時間作用性で、安全性の面でも優れている。LBとシクロデキストリン(CD)との包接複合体を作り、さらに効果が延長するかどうかを調べた。平成12年度に、種々のCDの中からmaltosyl-β-cyclodextrin(G2-β-CD)を選び出し、これとLBとの複合体をラットのクモ膜下腔へ投与し、効果が延長することを確認した。平成13年度は、この複合体をラットの坐骨神経ブロックに使用し、効果延長の程度を再確認した。 方法:体重280-320gのSDラットを用いた。LBの濃度を0.5%と1%にし、それぞれに0,100,200mMのG2-β-CDを包接させた。低濃度セボフルラン麻酔下でラットの左脚大転子と坐骨結節との間に30ゲージ使い捨て針を刺入し、いずれも100μlの薬液を注入した。その後ただちにセボフルランの吸入を中止して、固有感覚(hopping response)、運動機能(extensor postural thrust)、痛覚(deep pain)を経時的に測定し、%MPEに換算した。薬液の違いによる群間の比較にはAUC値を用いた。 結果:セボフルランの吸入中止から3分以内にラットは覚醒した。すべてのラットで可逆性の麻痺を認め、顕著な副作用は認めなかった。固有感覚、運動機能、痛覚のすべてにおいて、LBの効果は、CDを包接すると延長した。効果の延長は、0.5%LBで約2倍、1%で約1.4倍であった。効果の持続が短い0.5%LBでより効果的であった。 結論:レボブピバカインとシクロデキストリンとの包接複合体を用いてラットの坐骨神経ブロックを行うと、レボブピバカインの効果は1.4〜2倍延長した。麻酔はすべて可逆的で、副作用はなかった。レボブピバカインの効果の延長にシクロデキストリン、特にG2-β-CDは安全かつ有効であることがわかった。
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