2000 Fiscal Year Annual Research Report
小児(殊に1才以下)膀胱尿管逆流症の病態・生理・診断・治療体系の確立に関する研究
Project/Area Number |
12470325
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小柳 知彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80001923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村雲 雅志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90261304)
柿崎 秀宏 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10241324)
野々村 克也 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60113750)
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Keywords | 小児 / 膀胱尿管逆症 / ウロダイナミクス / 排尿圧 / 不安定膀胱 / 腎瘢痕 |
Research Abstract |
これまでに内視鏡にて下部尿路通過障害が否定された14例の男児原発性VURに対し、ウロダイナミクスおよび腎シンチグラフィーによる評価を行ってきた。ウロダイナミクス施行年齢は生後4ヶ月から10歳まで、平均4.2歳であった。VURの内訳は、両側性8例、片側性6例、VURの重症度はgrade III以下の軽度〜中等度VURが8例、grade IV以上の高度例が6例であった。排尿が自立する年齢を考慮し、3歳未満(7例)と3歳以上(7例)の2群に分けて排尿圧を比較すると、平均排尿圧は前者では82cmH2O、後者では57cmH2Oと3歳未満の群で排尿圧が高いことが判明した。排尿圧が90cmH2O以上、70〜90cmH2O、70cmH2O未満をそれぞれHigh,Equivocal,Lowと定義すると、3歳未満群ではHigh 57%,Low 43%であるのに対し、3歳以上群ではHigh 14%,Equivocal 14%,Low 72%であり、3歳未満群では高排尿圧例が多かった。また蓄尿中に排尿筋が収縮する不安定膀胱の合併頻度は、3歳未満群では0%、3歳以上群では57%であり、両群間に相違を認めた。排尿圧とVURの重症度、排尿圧と腎瘢痕陽性率には有意な相関は認められなかった。以上の結果から、男児原発性VURの特徴として、乳児例では高排尿圧が、年長児例では不安定膀胱の存在がVURの発生に深く関与することが示唆された。高排尿圧、不安定膀胱はそれぞれ排尿期、蓄尿期にみられるという相違はあるものの、膀胱内の高圧環境という点では共通しており、このような膀胱の高圧環境が原発性VURの発生・増悪因子として極めて重要であることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 飴田要 他: "特集:ウロダイナミクスの発展-ビデオウロダイナミクス(2)小児"排尿障害プラクティス. 8(1). 13-19 (2000)
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[Publications] 柿崎秀宏 他: "特集:ウロダイナミクスの発展-持続的ウロダイナミクス(2)小児"排尿障害プラクティス. 8(1). 25-31 (2000)
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[Publications] Hidehiro Kakizaki et al: "The nonneurogenic neurogenic bladder in children. Spectrum of dysfunctional voiding from early infancy to older children"ICS 2000 (International Continence Society 30th Annual Meeting), Abstract. 406A- (2000)
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[Publications] 信野祐一郎 他: "括約筋筋電図所見により尿路管理法を決定した小児神経因性膀胱症例の検討"日本神経因性膀胱学会誌. 11(2). 173-178 (2000)
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[Publications] 柿崎秀宏 他: "-小児泌尿器科学の最近の話題5-機能的排尿障害"臨床泌尿器科. 54(12). 927-933 (2000)
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[Publications] 柿崎秀宏 他: "先端医療シリーズ7・泌尿器科 診断と治療の再前線 第1版"先端医療技術研究所、東京. 205-215 (2000)