2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中後遺症としての尿失禁における橋排尿中枢シグナル伝達機構と遺伝子治療について
Project/Area Number |
12470331
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横山 修 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (90242552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 和人 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (80291368)
並木 幹夫 金沢大学, 医学部, 教授 (70155985)
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Keywords | 脳梗塞 / 神経因性膀胱 / 尿失禁 / 遺伝子 / 神経可塑性 / アクモノマイシンD / 一酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
頻尿・尿失禁モデルとしてこれまでに、中大脳動脈領域の梗塞を作成したラットモデルを報告してきた。このラットの橋排尿中枢に起こる可塑性は記憶・学習に関与すると推測されている海馬の長期増強(long-term potentiation、LTP)によく類似していることが解明された。もし、脳梗塞後の排尿反射亢進がLTPと同様の機序で生じているのならば、橋排尿中枢では新たなmRNAと蛋白質の合成が必要となる。DNAの転写反応を抑制する効果のあるActinomycin D(ACD)を用いてこの転写を阻害すると排尿反射の亢進は抑制されることが解明されたが、この結果は排尿反射の亢進に遺伝子が関与していることを意味する。ではこれをコントロールしている遺伝子は何か。われわれは転写因子としてのc-fos、c-jun、zif268に注目し、SYBR GreenIを用いたLightCycler^<TM> Systemによるreal-time PCRを行って、mRNAの定量を行った。その結果、脳梗塞による排尿反射の亢進には橋背外側被蓋におけるc-fosやzif268などのシナプス可塑性遺伝子が関与していることが解明された。これらの遺伝子は排尿反射の亢進とともに発現が増加し、NMDA受容体遮断やACD投与によりその発現は抑制された。また、排尿反射の亢進も抑制された。 脳梗塞後、一酸化窒素(NO)合成酵素(NOS)の阻害剤を側脳室に投与すると排尿反射亢進は持続的に抑制された。したがってNOは脳梗塞による排尿反射亢進においても重要な役割を果たしていると考えられる。 LTPにおいてNOは、後シナプスより前シナプスへの逆向性メッセンジャーとして働き、cGMPを介した蛋白リン酸化により前シナプスからの神経伝達物質の放出を増大させると言われている。NOS阻害剤により亢進した排尿反射が抑制されたのは、同様のメカニズムが存在するためだろうか。今後検討する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Nakada M: "Effects of aniracetam on bladder overactivity in rats with cerebral infarction"J.Pharmacol.Exp.Ther. 293. 921-926 (2000)
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[Publications] Yokoyama O: "Role of the forebrain in bladder overactivity following cerebral infarction in the rat"Exp Neurol. 163. 469-476 (2000)
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[Publications] Yokoyama O: "Diagnostic value of intravesical lidocaine for overactive bladder"J.Urol. 164. 340-343 (2000)
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[Publications] Kanie S: "GABA ergic contribution to rat bladder hyperactivity following middle cerebral artery occlusion"Am J Physiol. 279. R1230-R1238 (2000)
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[Publications] Komatsu K: "Central muscarinic mechanism of bladder overactivity associated with Alzheimer type senile dementia in a conscions rat model"Neurourol Urodyn. 19. 539-540 (2000)
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[Publications] Yokoyama O: "Interaction between dopaminergic and glutamatergic excitatory influences on lower urinary tract function in normal and cerebral infacted rats."Exp Neurol. (in press).
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[Publications] 児玉浩一,横山修: "神経泌尿器科学研究法・脳梗塞ラットモデルを用いた研究法"日本医学館. 9 (2000)
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[Publications] 四柳智嗣,横山修: "排尿障害"Medicament News. (2000)