2000 Fiscal Year Annual Research Report
尿失禁とβ_3アドレナリン受容体遺伝子変異に関する研究
Project/Area Number |
12470335
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
山口 脩 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 教授 (60006814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 樹 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 助手 (70305374)
横田 崇 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 助教授 (20240939)
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Keywords | β_3-アドレナリン受容体 / 遺伝子変異 / 尿失禁 |
Research Abstract |
被験者の毛髪(毛根)からβ_3-アドレナリン受容体の遺伝子変異(Trp64Arg)を同定し、尿失禁病態と正常例における変異出現率を比較した。平成12年に調査した症例数はまだ十分な数ではなかったが、尿失禁群38例中この変異があったのは16例で、約40%の変異出現であった。一方、同時に調査した正常群では、60例中15例の変異(約25%)を認めた。したがって、尿失禁群では確かにTrp64Arg変異の出現率が高くなる傾向を示しているが、さらに症例数を1群あたり250例まで増やさなければならない。また、尿失禁と最も関連することが予測されたホモの変異は、まだ2例しか見つかっていないので、今後さらに調査を拡大するつもりである。 一方、手術時に得られたヒト膀胱筋切片に関する研究は、種々の情報を提供した。β受容体サブタイプの発現をmRNAのレベルで検討したところ、β_3mRNAが圧倒的に多くβ_1およびβ_2mRNAは極めて少なかった。この事実はアゴニストによる弛緩実験でも裏付けられ、β_3mRNAのみが弛緩反応を引き起こしたが、β_1とβ_2アゴニストによる弛緩反応は見られなかった。次の課題は、この弛緩反応とβ_3の遺伝子変異との関係である。
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