2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト月経黄体から妊娠黄体への分化機構の総合的解析-免疫系による新しい分化誘導機構
Project/Area Number |
12470342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
樋口 壽宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283614)
吉岡 信也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90333575)
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
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Keywords | 着床 / hCG / 子宮内膜 / 黄体 / 免疫細胞 / 末梢血 / 妊娠 / 胚 |
Research Abstract |
ヒト黄体はひとたび妊娠が成立すれば妊娠黄体へと分化しプロゲステロンを分泌する。プロゲステロンは子宮内膜に作用し胚の着床を維持するが、もし妊娠黄体の機能低下がおこれば、妊娠の継続は困難となる。胚着床時に妊娠黄体の適切な形成が誘導されるためには、妊娠成立の情報が胚から黄体へ正確に伝達される必要がある。言い換えると、子宮内の胚と卵巣内の黄体、すなわち遠隔臓器間の胚と母体の相互作用の重要性を示しており、血流を介した胚-母体間の対話(クロストーク)が妊娠成立・維持過程に不可欠であると推論される。この情報伝達には着床期前後の胚から分泌されるhCGが主役を演じているとされているが、それ以外の機構の存在が示唆されているもののその実体はこれまで明らかにされなかった。 このような背景の中で本研究従事者らがヒト妊娠黄体を対象にして分析を進めてきたところ、systemicなクロストークの新しい担い手として末梢血中の細胞成分である免疫細胞が、胚から母体へ、または母体から胚への相互作用に重要な役割を演じている可能性が提示された。またこれらの末梢血免疫細胞が妊娠初期より胚着床維持に有利な機能変化をきたしていることが示され、胚がまだ卵管内に存在する時期より免疫細胞は妊娠成立の情報を既に認識しており、リンパ流や血流を介して黄体をはじめとする遠隔臓器にいち早くその情報を伝達し、さらには子宮にも作用して子宮内膜の分化や胚浸潤を促進して胚着床成立・維持に積極的に関与するという新しい概念が導き出された。 さらにhCGはその糖鎖の多い特徴を生かし、いわゆるLH/hCG受容体とは別に免疫系のPrimitiveな情報伝達分子と考えられているレクチン関連受容体を介して免疫細胞に特異的に作用し、生理活性物質の産生を促して妊娠維持に有利に働く可能性も認められ、妊娠初期には内分泌と免疫系とが協調しあった巧妙なネットワークが存在することが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tatusmi et al.: "Expression of Ly-6A/E in the mouse uterus during implantation period"Mol Hum Reprod. 58. 159-165 (2001)
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[Publications] Egawa et al.: "Peripheral blood mononuclear cells in early pregnancy promote invasion of human choriocarcinoma cell line, BeWo cells"Hum Reprod. 17. 473-480 (2002)
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[Publications] Nakayama et al.: "Human peripheral blood mononuclear cells (PBMC) in early pregnancy promote embryo in vasion in vitro : HCG enhances the effects of PBMC"Hum Reprod. 17. 207-212 (2002)
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[Publications] Park KR: "CD9 is expressed on human endometrial epithelial cells in association with integrins α6, α3 and β1"Mol Hum Reprod. 6. 252-257 (2000)