2000 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション脳機能とその発達障害に関する研究
Project/Area Number |
12470352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今泉 敏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80122018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 裕司 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80094613)
出口 利定 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50143623)
新美 成二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00010273)
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Keywords | コミュニケーション / 脳機能 / 発達 / 脳磁図 / 機能的MRI / 音声認知 / 文生成 / 文法 |
Research Abstract |
音声や文字情報を理解し言葉で表現する脳過程を中心に、コミュニケーション脳機能とその発達障害の様相を脳磁図と機能的MRIを用いて解析した。まず、健常若年者とコミュニケーション障害者(言語発達障害者)に対して、断定、質問、命令を意図する単語音声を提示してその意味を理解する脳過程を脳磁図を用いて解析した。その結果、1)音声知覚の初期過程に関わる聴覚野の反応(P1mやN1m)は10から16才にかけて反応速度(潜時)が有意に短縮すること、2)ミスマッチ脳磁界を用いて測定した断定、質問、命令の違いの検出に関わる脳機能は10才代よりも早期に成熟すること、3)ミスマッチ脳磁界は音声知覚の聴能訓練で学習効果に相関して振幅が増大すること、4)言語発達障害児では両方の成分とも遅れる傾向があること、観測された。さらに、文生成と文法処理に関わる脳内処理過程を機能的MRIを用いて解析した。成人18名を対象に視覚的に呈示した漢字3文字を機能語を補って日本語文として読む課題、機能語を補わずに音読する課題、漢字3文字が形成する視覚的イメージを生成する課題などを行って文生成の脳機構を解析した。その結果、5)文生成には左前頭葉下部が主として関与し、6)文法処理に関する負荷が増加するとこれに加えて運動前野や捕捉運動野の関与が増大すること、7)イメージ生成に関する負荷が増加すると捕捉運動野の活動が有意に増大し、左角回や左中側頭回にも新たな賦活が出現することが示された。以上の研究によって、8)コミュニケーション機能が脳の広い範囲に分散した複数機構の協調機能であること、9)機能によっては10代でもなお発達しつつあること、10)言語発達障害児は特異な発達過程を持っていることなど、重要な知見が得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Satoshi Imaizumi,Hiroshi Hosoi, et al.: "Ultrasound activates the auditory cortex of profoundly-deaf subjects"Neuro Report. 12・3. 583-586 (2001)
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[Publications] 今泉敏,為川雄二,出口利定 他: "構音評価における音響分析の意義"音声言語医学. 41・2. 139-144 (2000)
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[Publications] Satoshi Imaizumi, et al.: "Cortical plasticity during second language acquisition"Proceedins of International Conference on Development of Mind. 1. 31-36 (2000)
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[Publications] Chisto Pantev,B.Lutkenhoner: "Magnetoencephaphic studies of functional organization and plasticity of the human auditory cortex"Journal of Clinical Neurophysiology. 17・2. 130-142 (2000)
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[Publications] A.Engelien, et al.,and ChristoPanter: "A combined functional in vivo measure for primary and secondary auditory cortices"Hearing Research. 148・1-2. 153-160 (2000)
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[Publications] C.Eulitz, et al.,and Christo Panter: "Magnetic brain activity avocked and induced by Visually presented words and nonverbal stimuli."Psychophysiology. 37・4. 447-455 (2000)
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[Publications] Satoshi Imaizumi: "Diseases of the Larynx"Arnold, London. 860 (2000)
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[Publications] 今泉敏: "声の聴覚的検査(機能検査)"中山書店. 447 (2000)