2002 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション脳機能とその発達障害に関する研究
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12470352
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health Sciences |
Principal Investigator |
今泉 敏 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80122018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 裕司 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80094613)
出口 利定 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50143623)
横田 則夫 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (70230646)
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Keywords | コミュニケーション脳機能 / 言語音認知 / 語想起 / 文生成 / 脳磁図 / 機能的MRI / コミュニケーション障害 / 脳機能の獲得 |
Research Abstract |
環境を合理的に理解し言葉で表現する脳過程を中心に、コミュニケーション脳機能とその発達障害の様相を解析し明らかにした。まず、日本人にとって聞き分けが難しい英語のrとlだけが対比されている英単語/light/、/right/などや、ドイツ人にとって難しい日本語の「兄」、「安易」、「暗に」などを素材にして、ことばの聞き分け能力を短期間のe-learning手法で鍛え、正答率の上昇度と脳、特に聴覚性言語野の可塑的な変化効果を脳磁図による脳機能画像法で調べた。その結果、1)成人であっても母語では使用されない言語音声の聞き分けを習得できること、つまり正しく判断できるようになれること、2)それに伴って脳機能の再編成が起こること、3)非母語音声の聞き分けができる話者であっても、母語とは違った脳内処理に依存している可能性があること、が示された。さらに、語想起と文生成の脳機構の差異を調べるため、従来の語想起課題に加えて、語想起の対象範囲や方法を指定した課題を実施し、fMRIを用いて脳活動を観測した。その結果、4)語想起の方法と語のカテゴリーレベルに応じて賦活する脳部位に違いがある。5)日常の言語使用に近い語想起では、左中前頭回、左下前頭回、左大脳基底核、右小脳後葉、とりわけ右小脳後葉の賦活が有意に高い。6)最も効率的で計算的な語想起方法を採用すると5の結果とは違って両側頭頂葉の賦活が顕著である。音韻認知や語想起の方法と対象に応じて部分的にも異なる脳機構が関与しえるという結果は、一旦失われたコミュニケーション脳機能を再獲得する場合、訓練手法を工夫することによってもとの脳機構とは異なる脳機能を新たに編成して機能回復しえる可能性を示唆する。効果的な母語・外国語教育法、コミュニケーション障害者の効果的なリハビリテーション法の確立に役立つ成果が得られた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Menning, S.Imaizumi, et al.: "Plasticity of the Human Auditory Cortex Induced by Discrimination Learning of Non-Native, Mora-Timed Contrasts of the Japanese Language"Learning and Memory. 9・5. 253-267 (2002)
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[Publications] T.Nishimura, S.Nakagawa, T.Sakaguchi, H.Hosoi: "Ultrasonic masker clarifies ultrasonic perception in man"Hearing Research. 175・1-2. 171-177 (2002)
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[Publications] S.Imaizumi, S.Funatsu, et al.: "Auditory mechanisms detecting sound-stream and categorical viola-tions : A MEG mismatch study"Proceedings of the 13th International Conference on Biomagnetism. 74-78 (2002)
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[Publications] S.Funatsu, S.Imaizumi, et al.: "Cortical representation for second language phonemes spoken by mulit-speakers : An MEG study. A MEG mismatch study"Proceedings of the 13th International Conference on Biomagnetism. 341-349 (2002)
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[Publications] T.Nishimura, S Nakagawa, T.Sakaguchi, H.Hosoi, M.Tonoike: "Effect of stimulus duration for bone-conducted ultrasound on Nlm in man"Neuroscience Letter. 327・2. 119-122 (2002)
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[Publications] 今泉敏: "お国訛りはどのようにして身につけるか"クバプロ(心の発達、ことばの発達). 49-58 (2002)
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[Publications] 新美成二, 田山二郎, 今泉敏, 山口宏也: "医歯薬出版"音声生成の科学:発声とその障害. 272 (2002)