2001 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの急性中耳炎発症・病態への関与と治療へのアプローチ
Project/Area Number |
12470354
|
Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
岡本 美孝 山梨医科大学, 医学部, 教授 (40169157)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 全成 山梨医科大学, 医学部, 講師 (90283217)
荻野 純 山梨医科大学, 医学部, 講師 (00177156)
|
Keywords | 急性中耳炎 / ウイルス / 組織培養 / 核酸増殖法 / 中耳炎動物モデル / 鼻アレルギー |
Research Abstract |
急性中耳炎にて来院した未治療の小児急性中耳炎患児の上咽頭ぬぐい液ならびに鼓膜切開により得られた中耳液中の、種々の気道感染ウイルス,細菌について,培養法ならびにRT-PCR核酸増殖法により検出を試みた。また、その臨床経過についても、ウイルス検出例・非検出例,細菌検出例・非検出例で比較した。さらに、鼻アレルギー合併の有無についても、中耳炎の臨床経過に及ぼす影響を検討した。その結果、65検体中29%にウイルスあるいはウイルス遺伝子が中耳液中に検出され、この全例で上咽頭ぬぐい液中にもウイルスが検出された。一方、臨床経過との関連では、ウイルス検出例と非検出例において差はみられなかったが、アレルギー合併の有無からは、アレルギー合併症例でのウイルス検出例において、アレルギー非合併例に比較して、中耳炎反復や滲出性中耳炎への移行といった、経過不良例の出現が有意に高かった。 一方、昨年モルモットを用いた検討で、アレルギー感作モルモットへのRSウイルスならびに抗原投与により著しい好酸球浸潤の出現を報告したが、この機序を明らかにするために、アレルギー感作マウスの鼻粘膜を用いて、ウイルス接種による影響を調べた。アレルギー感作マウス鼻粘膜でもRSウイルス接種後の抗原誘発により著しい鼻粘膜過敏性亢進と,好酸球浸潤の増加が認められ、鼻粘膜リンパ球の解析では、IL-5のみならずIFN-γの誘導が生じていた。感作マウスへのIFN-γの鼻内投与は、好酸球浸潤を増加させ、鼻粘膜過敏性改善にはつながらなかった。ニューロキニン拮抗剤投与にて鼻粘膜過敏性亢進の改善が認められ、神経原性炎症も、この炎症反応に関与していることが示唆された。
|