2000 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を利用した最重度難聴者のためのコミュニケーションエイドに関する基礎的研究
Project/Area Number |
12470359
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
細井 裕司 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80094613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米本 清 岩手県立大学, 社会福祉学部, 助教授 (90305277)
渡辺 好章 同志社大学, 工学部, 教授 (60148377)
今泉 敏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80122018)
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Keywords | 超音波 / 最重度難聴者 / コミュニケーション / 補聴器 / PET / 脳磁図 |
Research Abstract |
ポジトロン断層法(PET)と脳磁図(MEG)を用いて、骨導超音波によって賦活される脳部位とその賦活潜時、強度ならびに刺激呈示部位の変化を脳のどこで検出するかについて検討した。 1.ポジトロン断層法(PET)による検討 対象は健聴成人男性9名と16kHz以下の周波数帯域で聴覚がない最重度難聴者5名である。聴力正常者に対しては、骨導超音波刺激、気導可聴音刺激、骨導可聴音刺激、触覚補聴器による振動刺激の4種類の刺激を用いた。最重度難聴者に対しては、骨導超音波刺激を用い、脳内局所血流量の増加をPET(PETscanner ADVANCE)により測定した。その結果、骨導超音波刺激によって有意に賦活された部位は左一次聴覚野内側部(Talairachの座標でx=-32,y=-32,z=22)であった。超音波刺激によって聴覚野が賦活されたことから、超音波による音響情報の伝達が可能であることが示された。 2.脳磁図(MEG)による検討 対象は健聴者10名である。1kHzで振幅変調した40kHzの超音波刺激を2個の骨導超音波セラミック振動子を通して左右の頚部に提示した。刺激提示はオドボール課題に準拠した。その結果、ミスマッチ磁界(MMF)が誘発され、刺激側の変化が検出されたことを確認した。刺激提示部位の変化を脳のどこで検出するかを調べたところ、聴覚野で検出されることが示された。また、骨導超音波で高頻度チャンネルに対する反応に左右差が無く、低頻度チャンネルに対しては左右聴覚野とも有意に(かつ特に反対側がより大きく)活動が増大した。さらに反応潜時はN1m、MMFともに気導可聴音のそれらよりも有意に遅れた。これらの違いは気導可聴音と骨導超音波の検知機構に差があることを示唆するものと考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Satoshi Imaizumi: "Ultrasound activates the auditory cortex of profoundly deaf subjects"NEUROREPORT. 12巻. 583-586 (2001)
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[Publications] 中川誠司: "新型補聴器解発のための骨導超音波聴覚の検村"電子情報通信学会第二種研究会資料WIT99-15. 89-94 (2000)
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[Publications] 細井裕司: "特集:高齢者と介護高齢者医療と介護の実際高齢者医療における難聴者への指導"JOHNS. 16巻・12号. 1865-1868 (2000)
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[Publications] 細井裕司: "耳鼻咽喉科診療プラクティス3.新生児・幼児・小児の難聴"文光堂. 254 (2001)
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[Publications] 細井裕司: "毎日ライフ特集:成人・老人の補聴器の選び方・使い方"毎日新聞社. 154 (2001)
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[Publications] 細井裕司: "CLIENT21-21世紀耳鼻咽喉科領域の臨床-6.聴覚"中山書店. 562 (2000)
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[Publications] 細井裕司: "新図説耳鼻咽喉科・頭頚部外科講座1-内耳-"メジカルビュー社. 247 (2000)
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[Publications] 細井裕司: "CLIENT21-21世紀耳鼻咽喉科領域の臨床-2.機能検査"中山書店. 447 (2000)