2000 Fiscal Year Annual Research Report
ケロイドおよび肥厚性瘢痕におけるエカレクチンの機能解析
Project/Area Number |
12470376
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
秦 維郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90164839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平島 光臣 香川医科大学, 医学部, 教授 (70109700)
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Keywords | ガレクチン / エカレクチン / ケロイド / 肥厚性瘢痕 |
Research Abstract |
創傷治癒過程におけるケロイドならびに肥厚性瘢痕の形成は外科分野において非常に重大な問題でる。正常な創傷治癒過程とともに、これらの病的な創傷治癒過程の正しい理解が必要と思われる。最近、創傷治癒や肥厚性瘢痕組織において各種サイトカインの重要性も報告されているが、未だ我々の理解は不十分である。我々はT細胞が抗原や腫瘍膜糖蛋白質の刺激により産生する好酸球遊走因子(ガレクチン)のクローニングに成功した。ガレクチンは細胞-細胞、細胞-細胞外マトリックス間の接着因子として作用するとともに、発生、細胞増殖、アポトーシスに関与し、さらに炎症や腫瘍細胞の浸潤転移にも関与するなど重要かつ多彩な作用を示すレクチンである。我々のガレクチン9も皮膚組織において細胞-細胞、細胞-細胞外マトリックス間の接着因子として機能することは明らかである。ケロイド及び肥厚性瘢痕組織におけるガレクチン9の機能や動態を検討することで、それらの予防ないし予知の可能性を探索する基礎を作ることが本研究の主目的である。我々はガレクチン9をはじめとするすべてのヒトガレクチンリコンビナントの作製とポリクローナル抗体を12年度において、すべて作製した。ガレクチンの定量に用いるELISA法は現在開発中であり、また抗ガレクチン9自己抗体価の測定法も開発中である。線維芽細胞におけるガレクチン発現はいろいろなサイトカインによって調節されていることを平島らはすでに見いだしており、病変局所においても炎症治癒期における幼若線維芽細胞での発現が増強することを明らかにしている。秦らはヒトケロイド及び肥厚性瘢痕組織におけるガレクチン9の動態を免疫組織学的に検討した結果、ケロイドにおいては正常皮膚に比して、線維芽細胞および病変部に一致する表皮細胞においてガレクチン9が強く発現していること、肥厚性瘢痕もケロイドと同様な反応がみられるが、陽性細胞数や染色濃度においてケロイドよりも少ないことを明らかにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Umeda,T,Ohara,H,Hayashi,O,Ueki,M,Hata,Y.: "Texic shock syndrome after suction lipectomy"Plastic and Reconstructive Surgery. 106(1). 204-207 (2000)
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[Publications] Fumichi,H,Yamashita,K,Okada,M,Toyoshima,T,Hata,Y, et al: "Identification of tranllast-binding protein as 36-k Da Microfibril associated glycoprotein by doing offensity chromatography and its localization in human skin"Biochemical & Biophysical Research Communications. 270(3). 1002-1008 (2000)
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[Publications] Matushita,N,Nishi,N,Seki,M,Hata,Y et al: "Requirement of Divalent Galactoside-binding activity of Ecalectin/Galectin-9 for eosinophil chemoattraction"The journal of Biological Chemistry. 275(12). 8355-8360 (2000)
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[Publications] Kawazoe,K,Kosak,H,Yoreyama,H,Hata,Y.: "Acute production of vascular superoxide by angiotensin II but not catecholamines"Journal of Hypertension. 18(2). 179-185 (2000)
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[Publications] Hata,Y.: "The really history of end-to-side neurorrhaphy"British Journal of Plastic Surgery. 53(7). 633-634 (2000)
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[Publications] Park,S,Hata,Y et al: "Full-thickness of skin graft from the ulnar aspect of the wrist to cover defects on the hand and digits"Annals of Plastic Surgery. 42(2). 129-131 (1999)
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[Publications] 秦維郎 他: "標準形成外科学"医学書院. 323 (2000)
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[Publications] 秦維郎 他: "美容皮膚科プラクチス"南山堂. 566 (1999)