2001 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質知覚過敏症モデルによる知覚過敏抑制効果の評価
Project/Area Number |
12470402
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石幡 浩志 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40261523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 佳奈子 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90302158)
飯山 正夫 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00193152)
庄司 茂 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10142986)
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Keywords | 知覚過敏 / シミュレータ / 発光 / フォトダイオード / ルミノール / 象牙質 |
Research Abstract |
象牙質知覚は動水力学説に基づいた象牙細管内液の移動により惹起されると言われている。従って象牙質知覚過敏症抑制材を客観的に評価するには、象牙細管内液の移動の抑止力を計測する手法が有効であると思われる。抜去されたヒト第3大臼歯10歯を用いた。歯軸垂直面において厚さ1および1.5mmの歯冠部象牙質スライスを作成したのち10%中性ホルマリン溶液にて浸漬し、実験時に30%H_2O_2にて象牙細管を開通した。歯冠側と歯髄側の象牙細管が開口するスライス両面から、0リングを介し透明アクリルチューブによりこれらを把持した。歯髄側のアクリルチューブ内に0.2%ルミノールを含む1%NaOH溶液、歯冠側アクリルチューブ内に小孔サイズ0.2μmのフィルタ(Whatman)によって微粒子を除去した0.3%H_2O_2を含むフェリシアン化カリウム溶液を満たした。試料近傍(距離約30mm)にプリアンプおよび電子冷却素子を内臓するフォトダイオード(S6204:浜松ホトニクス)を設置した。以上の装置は外光をほぼ完全に遮断する暗箱内に封止した。0.3%H_2O_2はルミノール化学発光のトリガーであり、両側のアクリルチューブ内試薬が象牙細管を通じて混合することにより生ずる発光はオシロスコープにより観察したのち、ADコンバータを通じてパーソナルコンピュータに記録された。試薬が象牙質スライス両面に接した状態では一過性の僅かな発光が見られた。次にフェリシアン化カリウム溶液が充填されたアクリルチューブに対して10〜500mmHGの空気圧を加えたところ発光が経時的に観測された。これらの発光量は個々の試料に応じて度合があるものの、同じ試料では圧力と正の相関をもって発光量が変化した。また1.0mm厚スライス試料の発光量が1.5mmのものと比較して全般的に発光量が大きくなる傾向であった。象牙質試料は30%H_2O_2による象牙細管の開通が施されていない状態ではいかなる条件でも発光は見られなかった。化学発光を利用した象牙質知覚過敏シミュレーションは象牙細管内液の移動を視覚的にしかも高感度に観察できるシステムである。象牙細管の開口の度合を発光量の変動で捉えることができるから、象牙質知覚過敏抑制材の効果を端的に評価できるツールとして極めて有効だと思われる。
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