2000 Fiscal Year Annual Research Report
義歯による咬合回復が歩行安定性に与える影響について
Project/Area Number |
12470413
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
早川 巖 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60014172)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 滋三 東京医科歯科大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10262205)
守澤 正幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40191019)
|
Keywords | 歩行 / 身体平衡 / 咬合 / 歩行速度 / 下顎位 |
Research Abstract |
近年,起立安静時の身体の平衡状態と咬合に関して数多くの報告がみられる。しかし身体の平衡状態を評価する場合,静止状態より複雑な制御を必要とする動作時についても検討する必要があるが,動作時の身体の平衡状態と咬合に関する報告は数少ない。本研究の目的は,日常の基本動作の一つである歩行に着目し,下顎位の変化が歩行中の身体の平衡状態に及ぼす影響について検討することである。 被験者は健常な成人男子12名である。被験者はスプリントによって規定された6下顎位で,16m歩行するよう指示された。また,この試行は速い歩行,普通の歩行,遅い歩行のそれぞれについて行い,計18回とした。試行の順序はラテン方格を応用して決定した。歩行の計測は,始めと終わりの4mを除く10mの定常歩行について行い,テレメータ方式の歩行分析計を用いて歩行周期,歩行周期の変動係数,歩行速度を算出した。 "歩行速度"別に"下顎位"を因子とした反復測定の一元配置分散分析により,解析を行った結果,歩行周期ではすべての歩行速度で,歩行周期の変動係数では速い歩行と普通の歩行で,歩行速度では速い歩行で有意差がみられた(p<0.05)。また,咬合の指示を与えなかった下顎位"指示なし"と,他の5下顎位との間で対比による検定を行った。その結果,歩行周期,歩行周期の変動係数,歩行速度のいずれにおいても速い歩行で,前歯部において5mm挙上した下顎位と,3mm挙上した位置から左側および右側に5mm変位した下顎位で有意差がみられた(p<0.05)。これらのことから,下顎位の変化は歩行中の身体の平衡,特に歩行リズムに影響を及ぼすことが示唆された。
|
Research Products
(1 results)