2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性黒色腫細胞より抽出された腫瘍増殖抑制因子に関する研究
Project/Area Number |
12470436
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
乾 真登可 三重大学, 医学部, 助教授 (70159961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 琢 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (80242965)
野村 城二 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80172815)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 腫瘍増殖抑制因子 / beta 2 microglobulin / bcl-2 family / PI-3 kinase / Novel apoptotic pathway |
Research Abstract |
この研究で、我々はMMN9細胞培養上清中に放出される増殖抑制因子を精製し、それをβ2-Microglobulin(β2M)と同定した。β2Mは用いた6種類の黒色腫細胞株にアポトーシスを誘導したが、正常線維芽細胞には誘導せず、β2Mはアポトーシス誘導因子であると確認された。カスパーゼの抑制剤Z-VAD-fmkとカスパーゼ3/7の抑制剤DEVD-CHOはβ2Mで誘導されるアポトーシスを抑制しなかった。これは、β2M誘導性のアポトーシスは古典的なFas誘導性のアポトーシスに特徴づけられるカスパーゼ経路を含んでいないことを示唆する。さらに、bcl-2の発現はβ2M誘導性のアポトーシスの進行中で変化無く、また、MMN9細胞のFas依存性アポトーシスで見られるBcl-2の断片化は見られなかった。しかし、アポトーシス誘導性のBaxとBakの発現はβ2M誘導性アポトーシスの後期で増加していた。故に、β2M誘導性アポトーシスはBax, Bak依存性のアポトーシス経路を持つ。β2M誘導性アポトーシスの形態学的変化はMHC-1へのリガンドの結合により誘導されるアポトーシスと同様であった。加えて、MHC-Iリガンド誘導性アポトーシスのごとく、PI-3 kinaseがβ2M誘導性アポトーシスの早期で活性化されていた。そして、PI-3 kinaseの抑制剤であるWortmanninはβ2Mによるアポトーシスを抑制した。 以上より、MMN9細胞のβ2M誘導性アポトーシスはPI-3 kinaseの活性化を伴うMHC-Iを通じてのシグナル伝達とアポトーシス後期のBcl-2 family遺伝子蛋白の活性化を包含している。β2Mによって誘導されるアポトーシス経路の解明はメラノーマ治療への有用な治療方法をもたらすであろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takahiko Kamei, et al.: "Interferon-gamma and anti-Fas antibody-induced apoptosis in human melanoma cell lines, and its relationship to bcl-2 cleavage bak expression"Melanoma Research. (In press). (2003)
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[Publications] Madoka Inui, et al.: "Beta2-microglobulin purified from the conditioned medium of malignant melanoma"Pigment Cell Research. 15・9. 79 (2002)
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[Publications] Shinnosuke Nakamura, et al.: "Reducing bak expression by introduction of bcl-2 antisense oligodeoxynucleotide (AS-ODN) to malignant melanoma cell, and the interaction of bcl-2 and bak mediated by p53"Pigment Cell Research. 15・9. 69 (2002)