2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12470441
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 誠司 九州大学, 歯学部附属病院, 講師 (60189040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白砂 兼光 九州大学, 歯学研究院, 教授 (30093420)
岸原 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80214774)
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Keywords | 免疫 / 口腔扁平上皮癌 / 細胞障害性T細胞 / T細胞レセプター / サイトカイン / 腫瘍関連抗原 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
癌に対する生体防御機構の一つとしてT細胞を中心とした免疫応答が重要な役割を担っていると考えられている。本研究の目的は、口腔扁平上皮癌に対する抗腫瘍T細胞のT細胞レセプター(TCR : Tcellreceptor)およびその認識抗原を同定することであり、現在までに以下のような結果を得た。 1)抗腫瘍T細胞のTCR遺伝子の同定:生検腫瘍組織内で強く発現されているTCR V領域の遺伝子ファミリーをRT-PCR法により検討したところ、一部のTCR Vβ遺伝子ファミリーが高頻度に発現されていた。さらにSSCP法によりそのクローナリティーを検討したところ、特定のTCR Vβ遺伝子ファミリーでクローナルに増殖したT細胞クロノタイプが検出できた。また、これらのT細胞クロノタイプは所属リンパ節にも集積していることがわかった。現在、そのクローナルに増殖したT細胞クロノタイプのTCR Vβ遺伝子の塩基配列を決定している段階である。 2)抗腫瘍T細胞のin vitroでの誘導:T細胞が認識する扁平上皮癌関連抗原としてSART-1が同定されているが、担癌患者の末梢血単核球にSART-1の抗原ペプチドを加えて培養すると細胞障害性T細胞が誘導できた。誘導されてくるT細胞のTCR Vβ遺伝子を解析したところ、前述の生検腫瘍組織内で強く発現されているTCR Vβ遺伝子と同一のものが含まれていた。さらに、担癌患者の末梢血単核球を自家癌で刺激しても細胞障害性T細胞が誘導でき、発現するTCR Vβ遺伝子には同様のTCR Vβ遺伝子と同一のものが含まれていたを解析しが含まれていた。以上のことより、SART-1が口腔扁平上皮癌関連抗原の一つであることが示された。 今後はSART-1を認識する抗腫瘍T細胞が発現するTCR遺伝子をクローニングし、SART-1を用いた抗腫瘍ワクチン療法の改良や効果判定に役立てる予定である。さらに、他の抗腫瘍T細胞が発現するTCR Vβ遺伝子を同定することで、SART-1以外の新たな腫瘍関連抗原を同定する予定である
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