2001 Fiscal Year Annual Research Report
痛み反応を必要としない局所麻酔薬の効果の判定法-組織内局所麻酔薬の光学的計測
Project/Area Number |
12470449
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
金子 譲 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間宮 秀樹 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30266572)
一戸 達也 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40184626)
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Keywords | 局所麻酔薬 / CCDカメラ / 紫外線 / Scion Image |
Research Abstract |
浸潤麻酔後の局所麻酔薬の組織内局在を検討する目的で、局所麻酔薬の紫外線吸収性を利用し、CCDカメラによる直接的な観察を行うために本研究を行った。 方法:局所麻酔薬は1%リドカインおよび2%リドカインを使用し、対照として生理食塩水を用いた。 研究1)マイクロシリンジを使用して局所麻酔薬あるいは生理食塩水を1μl採取し、(1)濾紙(溶液吸収性のある紙)、(2)溶液吸収性の無いプラスチック板、(3)生肉の上にそれぞれ滴下して観察した。検体に紫外線を照射し、300nmのフィルターを使用したUVレンズ(f=50mm、F3.5)を装着した背面照射型CCDカメラC8000-20で画像を取得した。画像はコンピュータに取り込んだ後、画像処理ソフトScion Imageを使用して面積と黒化度を計算した。 研究2)検体を肉片に注射した直後に液体窒素で瞬時凍結し、コンパウンド埋入後に薄切して、局所麻酔薬が組織内に浸透した組織切片を作成した。得られた切片を上記と同様の方法にて観察した。 結果: 研究1)局所麻酔薬は300nmの紫外線を吸収し、生理食塩水よりも高い黒化度を呈した(1%L:2%L:Saline=96:119:126)。したがって(1)と(3)の表面において局所麻酔薬の局在を確認することが可能であった。(2)は紫外線の吸収が強く、生理食塩水と局所麻酔薬の識別が不可であった。(3)において組織内部に注入した局所麻酔薬は確認できなかった。 研究2)切片内の麻酔薬の観察は、肉組織と局所麻酔薬の判別が困難であったため、不可であった。 考察:一連の研究から本法により局所麻酔薬の存在をCCDカメラを使用して肉眼的に捉えることはある程度可能であった。しかし今回、明らかになった問題点として、(1)紫外線照射によって検体の表面が蒸発する、(2)生肉に注射した際には局所麻酔薬と肉の紫外線吸光度の差が少ないため組織内における両者の鑑別が困難、(3)また紫外線が組織深部まで到達しない、点が判明した。(1)の点に関しては現在、濾紙に滴下した局所麻酔薬の経時的変化を観察し、乾燥の影響を調べている。 今後の方向:組織内の局所麻酔薬を観察するために、局所麻酔薬自身を色素等によりラベリングする、紫外線よりも組織深達性の良い赤色光を使用する、等の改良を試み、組織内局所麻酔薬の局在性を検討する予定である。
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