2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔レンサ球菌のフィブロネクチン受容体遺伝子の解析と発現タンパクの臨床応用
Project/Area Number |
12470464
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井上 昌一 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30028740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 節子 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (70145514)
伊藤 博夫 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (40213079)
北田 勝浩 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (90195264)
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Keywords | 感染性心内膜炎 / 口腔細菌 / 細胞外基質タンパク質 / フィブロネクチン / 遺伝子クローニング / DNAライブラリー / 発現ライブラリー |
Research Abstract |
栄養要求欠陥レンサ球菌(nutritionally variant streptococci : NVS)として知られるGraulicatella adiacensは、感染性心内膜炎の原因菌として分離される口腔常在菌であり、そのフィブロネクチン(Fn)付着能と宿主心内膜への定着能との関連性が示唆されている。昨年度に、フィブロネクチン結合物質と考えられるG. adiacensの遺伝子をクローニングしたが、本年度はサブクローニングを繰り返して全DNA塩基配列を決定し、当該タンパク質の一次構造を明らかにした(DDBJ Accession No. AB100598,2003年7月から公開)。データーベースにおける相同性検索の結果、Lactococcus lactisの2',3' -cyclic nucleotide 2' -phosphodiesteraseと推定されている遺伝子の推定アミノ酸配列と55%、Streptococcus mutansの推定5' -nucleotidaseのアミノ酸配列と23%などの相同性を認めた。同遺伝子産物を大腸菌で発現し、精製の後アジュバントと共に免疫して、マウスの特異抗血清を得た。この抗体はウエスタンブロットにおいてG. adiacensから得た抽出物の特定のバンドを染色し、さらに生菌に対する酵素抗体法においても、弱いながらも結合が見られた。これらの結果は、本物質がG. adiacensの細菌細胞表層に存在して、フィブロネクチンへの結合に関与する可能性を示唆するものである。しかしながら、G. adiacens細胞のフィブロネクチンへの結合は、このリコンビナントタンパク質、あるいはこれに対する抗血清で完全に抑制することはできず、G. adiacensには、今回クローニングした物質の他にも重要なフィブロネクチン受容体を発現しているだろうと考えられた。
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