歯周疾患感受性遺伝子の同定と遺伝子診断法の確立に関する総合的研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12470468
• Research Institution: Tokyo Medical and Dental University
• Principal Investigator: 渡辺 久 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40143606)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 荒川 真一 東京医科歯科大学, 歯学部・附属病院, 助手 (20302888) ; 野口 和行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90218298) ; 萩原 さつき 東京医科歯科大学, 歯学部・付属病院, 講師 (70134715)
• Keywords: 遺伝子診断 / 低フォスファターゼ症 / 歯周疾患 / 臓器非特異型アルカリフォスファターゼ / 点変異 / 発現ベクター / 変異遺伝子 / COS-1細胞

Research Abstract

今回、重度歯周疾患の認められた小児型HOPS患者で新規に発見された1320番目塩基が点変異(G1320A)することによりアミノ酸置換を起こすミスセンス変異(Val 365 Ile)について、その機能解析についての詳細な検討を行うことを目的とした。
ヒト歯根膜細胞からクローニングした正常TNSALP遺伝子を発現ベクターpcDNA3に組み込み、さらにsite-directed mutagenesisにより小児型HOPS患者から得られた変異(G1320A)を導入した発現ベクターを作製し、Lipofectin法を用いて、COS-1細胞にtransfectionし、一過性に蛋白質を強発現させた。使用したG1320Aに対する変異型プライマーのシークエンスは、1310から1330番目の塩基5'-CCATTCCCAC【A!_】TCTTCACATT-3'であった。遺伝子導入後、48時間あるいは72時間後に、COS-1細胞を集めて、1% Triton X-100と1mM PMSF含有の10mM Tris-buffered saline(pH7.4)を用いて、Polytron homogenizerによりホモジュナイズを行い、10,000xgにて遠沈後、上清を集めてALP活性と蛋白量の測定に供した。
COS-1細胞に発現させた変異蛋白のALP活性は変異型(G1320A)は遺伝子導入後48時間で0.063±0.012U/mg, 72時間で0.054±0.012U/mgであった。野生型の値を100%とした時の変異型のそれの占める割合はそれぞれ2.7%, 1.7%で、ALP活性はほとんど認められなかった。
小児型HOPS患者では、すでに報告したようにG1320AとT1155C(Phe 310 Leu)が見つかっており、いずれもアミノ酸置換を起こす点変異で、複合ヘテロ結合体であった。T1155Cの機能解析については、すでに報告があるため、今回、G1320Aの変異遺伝子について機能解析を行った。その結果、この変異型アルカリホスファターゼ遺伝子から作られるアルカリホスファターゼはほとんど活性を示さなかった。ことにより、小児型HOPS患者の臨床症状の発現に、この変異型アルカリホスファターゼ遺伝子が極めて重要であることが示唆された。

Research Products

• [Publications] Watanabe H, Hashimoto-Uoshima M, Goseki-Sone M, Orimo H, Ishikawa I: "A novel point mutation (C571T) in the tissue-non-specific alkaline phosphatase gene in a case of adult-type hypophosphatasia"Oral Diseases. 7・6. 331-335 (2001)
• [Publications] 青木章, 安藤義則, 渡辺久, 石川烈: "レーザーの1歯周病罹患根面の処置への応用"日本レーザ歯学会会誌. 12・2. 109-117 (2001)
• [Publications] 渡辺久, 野口和行, 石川烈: "ブログレッシプテクニック臨床医のための歯周治療"永末書店. 227 (2001)
• [Publications] 渡辺久, 石川烈: "歯科用レーザー、21世紀の展望パートI"クインテッセンス出版. 227 (2001)