2001 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性糖尿病患者の歯周病治療体系確立のための研究
Project/Area Number |
12470470
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村山 洋二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50029972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 賢一 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (00243452)
槇野 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50165685)
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
福田 哲也 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00304345)
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Keywords | 2型糖尿病 / 肥満 / 生活習慣病 / インスリン抵抗性 / 歯周炎 / TNF-α |
Research Abstract |
ライフスタイルの欧米化に伴い我が国の糖尿病患者数は激増した。その背景には肥満の増加に伴う潜在性インスリン抵抗性患者の増加が関与するもとと考えられる。肥満や2型糖尿病は歯周炎の代表的な危険因子であると考えられてきた。肥満患者の内臓脂肪に蓄積した脂肪細胞が産生するアディポサイトカインのうち、腫瘍壊死因子(TNF-α)は炎症反応を増強するとともに蛋白分解酵素の産生を誘導し、さらに炎症性骨破壊にも関与することが知られている。肥満や2型糖尿病患者において歯周炎が重症化する機序をこのアディポサイトカインの産生性の面から検討した結果、血中TNF-α濃度が上昇した患者において重症の歯周炎が高頻度に見られることを見出した。 一方、こうして発症した歯周炎が局所の感染を介してさらに血中TNF-α濃度を上昇させること、さらに歯周治療に伴ってその血中濃度が低下することを確認した。TNF-αは炎症の進展において重要な役割を担うことが知られているが、肥満糖尿病患者において惹起されるインスリン抵抗性の最も有力な原因分子であることも知られている。すなわち、肥満糖尿病患者で進行した歯周炎が炎症の進展に伴ってさらにインスリン抵抗性の面から糖尿病の病態を修飾する可能性を示した。このことは、従来考えられていた糖尿病が歯周炎の危険因子となるという一方向のみの影響でなく、両者が互いに影響を及ぼしあうことによって、複数の生活習慣病の集合体であるインスリン抵抗性症候群の病態形成に関与する可能性を示すものである。本補助金交付最終年度にあたる13年度は、以上の結果をもとにさらにその概念を総説としてまとめ報告した。
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Research Products
(1 results)