2001 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン移動プロセスを標的にしたトポイソメラーゼII阻害剤の設計・合成
Project/Area Number |
12470476
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯田 彰 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40202816)
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Keywords | トポイソメラーゼII / 阻害剤 / ヌクレオシド / DNA切断複合体 / 構造活性相関 / マイケル付加反応 / プロトントラップ / 酵素触媒 |
Research Abstract |
本研究ではトポトポイソメラーゼII(トポII)がDNAの切断と連接を繰り返し行なう一連の酵素の働きの中で、ある特定のアミノ酸残基間で起こるプロトンの移動に着目し、その移動のトラップが酵素触媒作用の阻害様式の一つであるとする新規な作業仮説を基盤に据えた酵素阻害剤の設計と合成を研究課題とする。 前年平成12年度の研究計画においては、ヌクレオシドの糖部分へと変換される光学活性ブテノライドの3位への阻害活性発現必須構造の導入法確立に重点を置いた。その結果、計画当初に設計したカテコール構造を持つ求核剤だけでなく、さらなるプロトントラップ能を有すると考えられる新規な求核剤の合成とマイケル付加反応を利用したヌクレオシドの糖部への導入に成功した。本年度はカテコール構造を組込んだヌクレオシドの合成を完了すること、ならびに12年度実績を基盤に当初研究計画をより高度に洗練することにより可能となった合成標的の新規設計と合成に挑んだ。まず、プロトカテキュアルデヒドのカテコールを保護、アルデヒド基のジチアンによる極性転換によりドナーシントンに変換し、これをブテノライド3位へマイケル付加させた。これを脱硫後還元し、グリコシル化反応により塩基であるチミンを導入した保護ヌクレオシドをほぼ1:1のジアステレオ比で還元から3工程67%で得た。この混合物を分離後、脱保護を行ない目的とするヌクレオシドの合成を達成した。さらに、構造活性相関を意識した合成も行なった。すなわち、カテコールとは水酸基の置換様式やその数の異なる求核剤を組込んだ誘導体も合成した。現在、それらの活性評価を行っている。一方,プロトントラップと同時にそのトラップを司るアミノ酸の機能を停止可能とする構造を考案し、それを組込んだドナーシントンの合成を完了した。
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[Publications] Y.Mizushina et al.: "Three-dimensional structural model analysis of binding site of aninhibitor, lithocholic acid, of both DNA polymerase β and DNA topoisomerase II"J.Biochem.. 130(5). 657-664 (2001)
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[Publications] S.Wada et al.: "Triterpene Constituents from the Stem Bark of Pinus luchuensis and their DNA Topoisomerase II Inhibitory Effect"Planta Medica. 67(7). 659-664 (2001)
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[Publications] S.Wada et al.: "Screening of Triterpenoids Isolated from Phyllanthus flexuosus for DNATopoisomerase Inhibitory Activity"J.Nat.Prod.. 64(12). 1545-1547 (2001)
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[Publications] A.Iida et al.: "Podophyllotoxin Aza-Analogue, A Novel DNA Topoisomerase II Inhibitor"Chem.Pharm.Bull.. 48(4). 486-489 (2000)
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[Publications] Y.Mizushia et al.: "Novel triterpenoids inhibit both DNA polymerase and DNA topoisomerase"Biochem J.. 350. 757-763 (2000)
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[Publications] Y.Mizushia et al.: "Structural homology between DNA binding site of DNA polymerase β and DNA topoisomerase II"J.Mol.Biol.. 304. 385-395 (2000)