2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン移動プロセスを標的にしたトポイソメラーゼII阻害剤の設計・合成
Project/Area Number |
12470476
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
飯田 彰 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40202816)
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Keywords | トポイソメラーゼII / 阻害剤 / ヌクレオシド / DNA切断複合体 / 構造活性相関 / 分子設計 / プロトントラップ / 化合物ライブラリー |
Research Abstract |
本研究では、トポイソメラーゼII(トポII)がDNAの切断と再結合に関わる一連の酵素機能の中で、ある特定のアミノ酸残基間で起こるプロトンの移動に着目し、その移動のトラップが酵素触媒作用の阻害様式の一つであるとする新規な作業仮説を基盤に据えた酵素阻害剤の設計と合成に挑戦した。プロトントラップとしてのカテコール構造の組み込みとDNAがトポIIの基質であることを考慮した結果考え出されたヌクレオシド誘導体は、デオキシリボース等価体である光学活性ブテノライドを経由する効率的なの設計と合成法の確立に到達した。 最終年度にあたる平成14年度は、合成したヌクレオシド誘導体のトポII阻害活性を調べるとともに、構造活性相関研究への展開を意識し、その活性試験対象を合成中間体まで広げた。最初に設計合成した誘導体は、ヌクレオシドとしては初めてのトポII阻害剤となり、設計にいたる発想や理論展開の正当性が示された。興味深いことに、阻害活性を示さなかったヌクレオシド誘導体の前駆体やその中間体がトポII阻害活性を示し、その活性は既存の阻害剤のそれを駿ががした。構造活性相関から得られた知見をまとめると、(1)ヌクレオシド塩基は活性に必須ではなく、5員環ラクトンとカテコール誘導体の合目的な組合わせにより活性発現最小分子構造が形成される、(2)塩基部は酵素との親和性向上に寄与する、(3)従って、、5員環ラクトン誘導体における活性の強度がそのままヌクレオシドの活性に反映される、ことが明らかとなった。一方、今回活性発現誘導に成功したヌクレオシドは、トポIには全く作用せずトポII選択的であること、また、切断複合体を形成しない作用様式を有することが明らかとなった。 今回合成した誘導体は、本研究で確立された合成ルートで得られる誘導体のごく一部である。今後、引き続き行われる合成は、広範で系統だった化合物ライブラリー構築が容易であることから、創薬研究に展開するための基盤となる構造活性相関研究を大いに期待したい。
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[Publications] Y.Mizushina et al.: "Three-dimensional structural model analysis of binding site of aninhibitor, lithocholic acid, of both DNA polymerase Β and DNA topoisomerase II"J. Biochem.. 130(5). 657-664 (2001)
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[Publications] S.Wada et al.: "Triterpene Constituents from the Stem Bark of Pinus luchuensis and their DNA Topoisomerase II Inhibitory Effect"Planta Medica. 67(7). 659-664 (2001)
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[Publications] S.Wada et al.: "Screening of Triterpenoids Isolated from Phyllanthus flexuosus for DNA Topoisomerase Inhibitory Activity"J. Nat. Prod.. 64(12). 1545-1547 (2001)
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[Publications] A.Iida et al.: "Podophyllotoxin Aza-Analogue, A Novel DNA Topoisomerase II Inhibitor"Chem. Pharm. Bull.. 48(4). 486-489 (2000)
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[Publications] Y.Mizushia et al.: "Novel triterpenoids inhibit both DNA polymerase and DNA topoisomerase"Biochem J.. 350. 757-763 (2000)
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[Publications] Y.Mizushia et al.: "Structural homology between DNA binding site of DNA polymerase Β and DNA topoisomerase II"J. Mol. Biol.. 304. 385-395 (2000)