2001 Fiscal Year Annual Research Report
海洋天然物を薬理学的ツールとして用いた生理機構の解明
Project/Area Number |
12470492
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大泉 康 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00006355)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 真也 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (80271849)
中畑 則道 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (60045804)
|
Keywords | 海洋天然物 / Ca^<2+>チャネル / Ca^<2+>放出 / PI-3キナーゼ / アクチン / 平滑筋 |
Research Abstract |
従来の海洋整理活性物質の研究は、有機化学的な研究が主流であった。我々は生物活性のターゲットを細胞情報伝達系に向けて海洋天然物の研究を行ったところ、(1)細胞のCa^<2+>動態、(2)PI-3キナーゼ、および(3)細胞骨格と、細胞内情報伝達経路におけるシグナルの入力から出力までそれぞれに作用する化合物を得ることに成功した。 ホンダワラコケムシから単離されたハロゲン含有グラミン誘導体は、その生理活性が電位依存性Ca^<2+>チャネルの抑制にあることを見出した。この誘導体はフジツボの付着阻害活性を指標にスクリーニングされてきた化合物であり、我々の知見は、未だ不明な点が多いフジツボの変態メカニズムにCa^<2+>チャネルの関与があることを示しており、ここから新たな研究の進展が期待される。また、過鞭毛藻から単離されたズーザンテラトキシンBは電位依存性Ca^<2+>チャネルとは異なる経路によって外液からCa^<2+>を流入させることを見出した。電位依存性Ca^<2+>チャネルは興奮性細胞特有のタンパク質であり、その症状については詳しい研究がなされているが、生体の大多数を占める非興奮性細胞のCa^<2+>流入機構については、未だに不明な点が多い。ズーザンテラトキシンAはCa^<2+>流入経路研究に大いに役立つものと期待される。さらに、細胞内のCa^<2+>濃度調節機構としては流入の他に放出機構も重要な役割を果たしているが、我々は9-メチル-7-ブロモユージストミンDによって従来均質と考えられていた平滑筋細胞のCa^<2+>放出部位に、2種類あることを見出した。このことから、平滑筋の細胞内Ca^<2+>濃度がより微細な機構によって調節を受けていることが示された。 我々はさらに、カイメンより単離したハレナキノンを用いて、アポトーシスにおけるPI-3キナーゼの役割を検討した。また、細胞骨格に作用するゴニオドミンAによって細胞の遊走能が阻害されることを見出した。
|
-
[Publications] Iwata, S. et al.: "Novel marine-derived halogen-containing gramine analogues induce vasorelaxation in isolated rat aorta"European Journal of Pharmacology. 432. 63-70 (2001)
-
[Publications] Fujiwara, H. et al.: "Halenaquinone, a novel phosphatidylinositol 3-kinase inhibitor from marine sponge, induces apoptosis in PC21 cells"European Journal of Pharmacology. 413. 37-45 (2001)
-
[Publications] Ohi, Y. et al.: "Imaging of Ca^<2+> release by caffeine and 9-methyl-7-bromosudistomin D and associated activation of large conductance Ca^<2+>-dependent K^+ channels in urinary bladder smooth muscle cells of the guinea"Japanese Journal of Pharmacology. 85. 382-390 (2001)
-
[Publications] Abe, M. et al.: "Goniodomin A, an antifungal polyether macrolide, exhibits antiangiogenic activities via inhibition of actin reorganization in endothelial cells"Journal of Cellular Physiology. 190. 109-116 (2002)
-
[Publications] Moriya, T. et al.: "The vaso-contractile action of zooxanthellatoxin-B from a marine dinoflagellate is mediated via massive Ca^<2+> influx in the rabbit aorta"Canadian Journal of Physiology and Pharmacology. (in press). (2002)