2000 Fiscal Year Annual Research Report
痛覚情報伝達・制御および疼痛情動反応における扁桃体の役割に関する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
12470498
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 公道 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80025709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 助手 (30303845)
南 雅文 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (20243040)
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学研究科, 助教授 (90209916)
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Keywords | 扁桃体 / 痛覚受容 / 疼痛情動反応 / モルヒネ / 基底外側核 / 中心核 / c-fos mRNA / グルタミン酸 |
Research Abstract |
外部からの感覚刺激入力に対する情動発現に深く関与していることが知られている扁桃体の、痛覚情報伝達・制御および疼痛情動反応における役割を検討した。まず、扁桃体の亜核の中でもμオピオイド受容体や内因性オピオイドペプチドの強い発現が確認されているラット基底外側核(BLA)両側への薬物微量投与法を確立した。本手法を用いて、BLA両側へモルヒネを微量投与することにより、paw pressure testおよびホルマリンtestにおいで有意な抗侵害受容作用が見られたが、tail flick testおよびhot plate testにおいては変化は見られなかった。また、後肢足底へのホルマリン投与による体性感覚侵害刺激を与えたラットの扁桃体では主にBLAを含む基底外側核群で、神経活性化のマーカーとなるc-fos mRNAの発現誘導が見られた。一方、腹腔内への酢酸投与による内臓感覚侵害刺激を与えたラットの扁桃体では、中心核においてc-fos mRNAの強い発現誘導が見られた。また、in vivo microdialysis法により、これら体性および内臓感覚侵害刺激により、BLAにおいて細胞外グルタミン酸濃度が上昇することを明らかにした。さらに、グルタミン酸NMDA受容体アンタゴニストであるMK-801をBLA両側へ微量投与することにより、ホルマリン誘発疼痛関連行動に対しては有意な影響を与えなかったが、ホルマリン刺激の条件付けにより惹起される条件付け場所嫌忌行動(ホルマリン誘発疼痛情動反応)が有意に抑制されることを明らかにした。一方、CNQX(non-NMDA受容体アンタゴニスト)およびAP-3(代謝型グルタミン酸受容体アンタゴニスト)のBLAへの微量投与は、ホルマリン誘発疼痛関連行動および疼痛情動反応、いずれに対しても何ら影響を与えなかった。
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Research Products
(1 results)