2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12470500
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森山 芳則 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10150658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 正人 岡山大学, 薬学部, 助手 (30243489)
坪井 誠二 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50172052)
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Keywords | メラトニン / マイクロベジクル / グルタミン酸 / 松果体細胞 / 小胞型グルタミン酸輸送体 / N-actyltranferase / 結晶化 |
Research Abstract |
メラトニンの生合成調節機構について、合成酵素N-acetyltransferaaseと負の調節系であるグルタミン酸作動系、正の調節系であるセロトニン作動系について研究し、著しい成果をあげることができた。表題にもあるように実際細胞レベルで概日リズム制御が可能になってきた。本研究課題も目標は十分達成できたと考えている。以下、本年度の成果を述べる。 1 グルタミン酸出力系の分子機構:グルタミン酸はマイクロベジクルに蓄積された後、開口放出される。これまでの解析の結果、この開口放出はCa2^+に依存した調節性のものであり、神経の化学伝達の場合と同様、SNARE complexが関与すると考えられる。抗SNAP25抗体を用いた抗体カラムを作成し、松果体細胞のSNARE complexを単離した。その構成タンパクを電気泳動上で明らかにした。既知のSNARE complexの他に2、3新規タンパクを同定した。これらの部分一次アミノ酸配列を元にcDNAを単離し、発現系をつうじてその機能を明らかにしつつある。 また、マイクロベジクル内にグルタミン酸が蓄積される機構を分子レベルで解明した。すなわち、vesicular glutamate transporterを同定し、それがミクロベジクルに局在することを証明した。さらに生細胞におけるミクロベジクル内pHを実測し、グルタミン酸輸送の駆動力の大きさを決定することができた。一連の論文で発表した。 さらに、メラトニン合成の促進機構と考えられるセロトニン作動系が松果体に備わっていることを見出し発表した。 2 グルタミン酸終止系の解析:松果体細胞はグルタミン酸シグナルを出力すると同時にこの信号を急速に終止させるためのシステムとしてNa^+-dependent glutamate transporterを発現している。これまでの解析の結果、このトランスポーターはグリア細胞に発現しているGLT-1と似ていることを見いだした。このcDNAを単離した。このcDNAはGLT-1と約60%のホモロジーを持つ新しいイソ型であった。このcDNAをカエル卵細胞内で発現させ、その輸送の性質を詳細に検討した。論文は現在revision中である。 3 グルタミン酸受容体系の解析:複数のグルタミン酸受容系を新たに同定した。発表準備中。1-3の成果によりこの内分泌器官におけるグルタミン酸作動系の全貌はほぼ明らかになったものと思われる。 4 メラトニン合成系の生物工学的展開:ヒトNATの発現系を大腸菌を用いて構築した。この系を用いて、カルボキシル末端にHisタグを付けた酵素を精製した。化学修飾実験により、活性部位近傍に存在する2つのシステイン残基がSS結合をすること。この結合の酸化・還元により活性が調節されていることを実証した。この成果は部位特異的変異導入によっても確認できた。すなわち、このSSがあたかもスイッチの如くはたらき細胞内の酸化・還元状態を密接に関わっていることを見出した。論文として発表した。 さらに、この研究成果からアミノ末端近傍の構造が上述の調節機構ならびにリン酸化とシャペロンタンパクが関与する調節に重要であることが判明し、その機構を分子レベルで探っている。さらに、この部分の結晶構造を解明しつつある。 さらに、生細胞内の還元型グルタチオン量を人工的に変動させることによりメラトニン合成量をコントロールすることに成功した。 この成果によりNAT酵素活性の人工制御への道が開けた。
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[Publications] H.Yamada, M.Hayashi, S.Uehara, M.Kinoshita, A.Muroyama, M.Watanabe, K.Takei, Y.Moriyama: "Norepinephrine triggers Ca^<2+>-dependent exocytosis of 5-hydroxytryptamine from rat pinealocytes in culture"J.Neurochem.. 81. 533-540 (2002)
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[Publications] M.Hayashi, A.Yamamoto, Y.Moriyama: "The internal pH of synaptic-like microvesicles in rat pinealocytes in culture"J.Neurochem.. 82. 698-704 (2002)
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[Publications] S.Tsuboi, Y.Kotani, K.Ogawa, T.Hatanaka, S.Yatsushiro, M.Otsuka, Y.Moriyama: "An intramolecular disulfide bridge as a catalytic switch for serotonin N-acetyltransferase"J.Biol.Chem.. 277. 44229-44235 (2002)
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[Publications] R.Morimoto, M.Hayashi, S.Yatsushiro, M.Otsuka, Y.Moriyama: "Co-expression of vesicular glutamate transporters (VGLUT1 and VGLUT2) and their association with synaptic-like microvesicles in rat pinealocytes"J.Neurochem.. 84. 382-391 (2003)
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[Publications] M.Hayashi, H.Yamada, S.Uehara, R.Morimoto, A.Muroyama, J.Takeda, A.: "Secretory granule-mediated co-secretion of L-glutamate and glucagon triggers a glutamatergic signal transmission in islets of Langerhans"J.Biol.Chem.. 278. 1966-1974 (2003)
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[Publications] 高森 茂雄, 森山 芳則: "グルタミン酸化学伝達の鍵分子:小胞型グルタミン酸トランスポーター"細胞工学. (in press). (2003)
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[Publications] Y.Moriyama, M.Hayashi, S.Yatsushiro: "Vacuolar proton pump in Plasmodium falciparum"J.Bioenerg.Biomembr.. (in press). (2003)
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[Publications] T.F.Taraschi, L.Tilley, Y.Moriyama: "Generation of an erythrocyte vesicle transport system by Plasmodium falciparum malaria parasites"(in press). (2003)