2000 Fiscal Year Annual Research Report
個別薬物療法のための薬物代謝酵素の遺伝的多型情報の収集と評価に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12470523
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横井 毅 金沢大学, 薬学部, 教授 (70135226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 美紀 金沢大学, 薬学部, 助手 (70266162)
山崎 浩史 金沢大学, 薬学部, 助教授 (30191274)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / SNPs / CYP2A6 / 人種差 / 遺伝子診断 / 肝障害 / トログリタゾン / キノン体代謝物 |
Research Abstract |
本年度は、(1)ヒト薬物代謝酵素であるCYP2A6について、ヒトin vivo表現型と遺伝子型の相関について詳しく検討し、論文として報告した。(2)ヒトにのみ特異的に肝障害を誘発する原因遺伝子の検索を行った。 1については、日本人93名および韓国人200名に、in vivoプローブとしてニコチンガムを用いて、CYP2A6の代謝能を調べた。その結果、韓国人が日本人よりも高い代謝能を示すことを見出した。さらにこれらのボランティアのCYP2A6遺伝子について精査した。6種類の遺伝子変異(SNPs)の分類において、そのアリル頻度の分布に若干の人種差が見出された。また、全欠損型(CYP2A6遺伝子を全くもたないヒト)が、約4%いることについて、遺伝子型と表現型の完全な相関を見出した。さらに、これまでのSNPsでは説明できない新たな変異が存在するの可能性を見出したため、現在ゲノム配列の検索を行っている。 2については、2000年3月に肝障害が原因で発売が取りやめられた抗糖尿病薬トログリタゾンに焦点を絞って検討した。その結果、1:キノン体代謝物が肝障害発症に関与している可能性を見出し、さらにアポトーシスの関与を証明し,論文として投稿中である。2:これまで報告されていない新たなキノン体代謝物を同定し、この代謝物も少なからず肝細胞傷害性をもつことを見出した(論文作成中)。3:肝障害性の新たなスクリーニング系として、ヒト不死化肝細胞の樹立の検討に着手した。4:トログリタゾンによる肝障害発症に関わる遺伝子を、ヒトヘパトサイトを用いて検索し、トランスポーター遺伝子が特異な変化を示すことを見出し、現在この機構も鋭意検討中である。 以上、成果は日本薬物動態学会および日本薬学会で発表し、一部については論文として発表できた。次年度も引き続き新たな成果が出せるものと考えている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Miki Nakajima et.al: "Relationship between interindividual differences of nicotine metabolism and CYP2A6 genetic polymorphism in humans"Clin.Phramacol.Ther. 69. 72-78 (2001)
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[Publications] Miki Katoh et al.: "Inhibitory potencies of 1, 4-dihydropyrodine calcium antagonists to Pglycoprotein- mediated transport : Comparison with the effects on CYP3A4."Pharm.Res.. 17. 1189-1197 (2000)
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[Publications] Chie Emoto et al.: "Characterization of cytochrome P450 enzymes involved in drug oxidations in mouse intestinal microsomes."Xenobiotica. 30. 943-953 (2000)
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[Publications] Tomoko Komatsu et al.: "Formation of a dihydroxy metabolite of phenytoin in human liver microsomes/cytosol : roles of P450 2C9, 2C19 and 3A4."Drug Metab.Dispos.. 28. 1361-1368 (2000)
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[Publications] Miki Katoh et al.: "Prediction of drug-drug interactions via cytochrome P450 by 1, 4-dihydropyrodine calcium antagonists."Eur.J.Clin.Pharmacol.. 55. 843-852 (2000)
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[Publications] Katsuhiro Ohyama et al.: "Inhibitory effects of aminodarone and its metabolites on human cytochrome P450 enzyme activities : Prediction of in vivo drug interactions."Brit.J.Clin,Pharmacol.. 49. 244-253 (2000)
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[Publications] 中嶋美紀,横井毅: "生物薬化学実験講座,第15巻「薬物代謝酵素」"廣川書店. 375 (2000)
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[Publications] 横井毅(分担): "薬物代謝学 医療薬学・毒性学の基礎として"東京化学同人. 282 (2000)