2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体ESR-CT法による心不全疾患の成因・進展に関わるフリーラジカルの無侵襲解析
Project/Area Number |
12470526
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内海 英雄 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20101694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
輿石 一郎 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (20170235)
筒井 裕之 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70264017)
下川 宏明 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (00235681)
市川 和洋 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (10271115)
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Keywords | 生体ESR-CT / スピンプローブ / フリーラジカル / 心不全 / 活性酸素種 / 心筋梗塞 / 拡張型心筋症 |
Research Abstract |
心不全は各種心疾患の末期像であり、その予後は悪性腫瘍に匹敵するほど悪く、患者の日常生活を著しく制限するなど、その効果的な予防法や治療法の開発が極めて重要な疾患である。心不全の発症および進展には活性酸素種や活性窒素種の関与が示唆されている。本研究では、生体計測ESR-CTを拡張型心筋症のモデル動物に適用し、疾患成因および進展へのこれらフリーラジカルの関わりについて検討を試みている。 本年は、複数のラジカル種が混在する場合における、個々のラジカルを画像化するためのアルゴリズムの確立を行った。複数のラジカルに対するESRシグナルの積分波形を比較し、いずれとも重なり合わないピークを選び、スペクトル-空間画像から空間情報を得る。さらに、重なり合うピークの面積和を演算処理することにより各ラジカルのスペクトル-空間画像とし、空間情報を得る。0、30、60、90、120および150°の射影軸における空間情報から、各ラジカル種に対するESR-CT画像を構築する。本アルゴリズムにより、ハイドロキシルラジカルおよび一酸化窒素の共存下における各ラジカルの分別画像化が可能であることを立証した。 マウスの左冠動脈を結紮して拡張型心筋症のモデル動物を作製した。本モデル動物をスピンプローブ法-生体計測ESRに適用したところ、フリーラジカル反応の亢進が認められた。本モデル動物における心臓では、ミトコンドリアの酵素複合体Iの活性低下が活性酸素種の産生に関連する可能性を示唆した。 今後、確立したアルゴリズムを用いて心臓におけるフリーラジカル反応を解析することにより、心筋梗塞マウスにおける疾患発症への活性酸素種の関わりを明らかにする。さらに、抗酸化酵素に対する遺伝子制御動物を用い、これらの遺伝子の心不全形成・進展への関与を明らかにする予定である。
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[Publications] Matsumoto K,Utsumi H.: "Development of separable electron spin resonance-computed tomography imaging for multiple radical species : An application to・OH and・NO."Biophysical Journal. 79. 3341-3349 (2000)
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[Publications] Inoguchi T,Li P,Umeda F,Yu HY,Kakimoto M,Imamura M,Aoki T,Etoh T,Hashimoto T,Naruse M,Sano H,Utsumi H,Nawata H.: "High glucose level and free fatty acid stimulate reactive oxygen species production through protein kinase C-dependent activation of NAD (P) H oxidase in cultured vascular cells."Diabetes. 49. 1939-1945 (2000)
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[Publications] Kinugawa S,Tsutsui H,Hayashidani S,Ide T,Suematsu N,Satoh S,Utsumi H,Takeshita A.: "Treatment with dimethylthiourea prevents left ventricular remodeling and failure after experimental myocardial infarction in mice : Role of oxidative stress."Circulation Research. 87. 392-398 (2000)
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[Publications] Sano H,Naruse M,Matsumoto K,Oi T,Utsumi H.: "A new nitroxy-probe with retention in the brain and its application for brain imaging."Free Radical Biology & Medicine. 28. 959-969 (2000)
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[Publications] Matsumoto K,Endo K,Utsumi H.: "In vivo electron spin resonance assessment of decay constant of nitroxyl radical in selenium-deficient rat."Biological Pharmaceutical Bulltin. 23. 641-644 (2000)