2001 Fiscal Year Annual Research Report
授乳期の抗重力筋活動がラット後肢筋の発育に及ぼす影響
Project/Area Number |
12480010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大平 充宣 大阪大学, 健康体育部, 教授 (50185378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 昭彦 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (90184548)
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Keywords | ラットヒラメ筋筋線維 / 分化 / 発育 / 重力負荷 |
Research Abstract |
重力下における通常の発育によってラットヒラメ筋では筋線維サイズの増大や遅筋化、単一神経支配化が起こる。しかし、これらの現象が重力負荷の有無によってどのように影響されるか明らかでない。そこで本研究では、生後3ヶ月間の後肢懸垂がラットのヒラメ筋筋線維の発育に及ぼす影響を検討した。 その結果、懸垂群のヒラメ筋絶対重量及びCSAは、それぞれコントロール群の約1/3及び1/5であった。しかし、後肢懸垂による足関節角度90度でのヒラメ筋筋長や筋線維長、サルコメア数の変化は認められなかった。また、全筋線維数に変化がなかったことからも、懸垂によるヒラメ筋の発育抑制は主に個々の筋線維CSAの発育抑制によるものであると言える。懸垂群における全単一筋線維や1mm筋線維長当たりの筋核数、筋核1個当たりの筋細胞質支配領域は、コントロール群に比べそれぞれ59%、57%及び29%低値であった。しかし懸垂群の筋核容積はコントロール群に比べ35%大きかった。筋核容積1μm^3当たりのDNA含量はコントロール群に比べ20%少なかったが、筋核1個当たりではコントロール群と差がなかった。懸垂群における休止期及び分裂期の衛星細胞数は、それぞれコントロール群に比べ78%及び73%少なかった。また、懸垂群においてtypeIミオシン重鎖のみを発現する筋線維の分布は、コントロール群よりも23%少なかった。逆に、typeIIのみ又は両typeを発現する筋線維はコントロール群に比べ懸垂群で多かった。コントロール群では約97%の筋線維が1つの神経・筋接合部を筋線維の中央部に保有し、約2%の筋線維が2つの神経・筋接合部を保有していた。しかし、懸垂群では1つの神経・筋接合部を保有している筋線維は約60%で、その他約32%、約7%、約1%の筋線維はそれぞれ2つ、3つ、5つの神経・筋接合部を全単一筋線維中に保有していた。以上の結果から、生後起こるヒラメ筋筋線維の発育や分化は重力負荷と密接に関わっていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohira Y. et al.: "Ontogenetic, gravity-dependent development of rat soleus muscle"American Journal of Physiology, Cell Physiology. 280. C1008-C1016 (2001)
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[Publications] Nomura T. et al.: "Enhaced Hoffman-reflex in human soleus muscle during exposure to microgravity environment"Neuroscience Letters. 316. 55-57 (2001)
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[Publications] 河野史倫: "9週間の後肢懸垂がラットの立ち直り反射に及ぼす影響"第47回日本宇宙航空環境医学会予稿集. 40 (2001)
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[Publications] 野村健: "9週間の後肢懸垂及びその後の回復がラットヒラメ筋の組織化学的特性に及ぼす影響"第47回日本宇宙航空環境医学会予稿集. 40 (2001)
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[Publications] Namura T. et al.: "Responses of H-reflex in human soleus muscle to hyper-and micro-gravity during parabolic flight"34th IUPS Congress Abstract. ID2179 (2001)
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[Publications] Ohira Y. et al.: "Afferent input-associated decrease of EMG of rat soleus in response to microgravity during parabolic flight"34th IUPS Congress Abstract. ID2178 (2001)