2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12480062
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
大森 宏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10282691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 泰 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (40012009)
羽生 和紀 日本大学, 文理学部・心理学科, 助教授 (00307787)
安達 めぐみ 東京農業大学, 農学部, 非常勤講師
林 知己夫 東京大学, 統計数理研究所, 名誉教授 (50000188)
岸野 洋久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00141987)
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Keywords | 庭景観 / バーチャルガーデニング / 嗜好計測 / 印象計測 / 環境推論 / 国際比較 / 環境の意味 |
Research Abstract |
昨年度までの調査研究で、園芸植物を用いてどのような屋外景観を個々人が各家庭で形成させているかの実態調査を、住宅地図や電話帳を用いた無作為抽出により行い、日本(78軒)、イギリス(44軒)、イタリア(24軒)、ドイツ(40軒)での庭の写真が各対象あたり30枚程度収集できた。この収集した写真を眺めて、庭に存在する物体の有無を計測して、国ごとに比較した。その結果、西洋の庭では、椅子やテーブル、スポーツ用品、薪、小屋などが存在しているが、日本の庭ではそのような物はあまり存在していなかった。西洋と日本では庭の広さの違いもあるが、利用形態に大きな違いがあることが確認された。 全体的な印象を表す写真を各標本家庭から1枚ずつ選び、似たような景観のものを除くなどして、この中から100軒(日本が40軒、外国は20軒程度)についての写真を選んだ。この景観写真を用いて、イギリス・レディグ大学学生、イタリア・トリノ大学学生、ドイツ・ミュンヘン工科大学学生、東京大学農学部学生を被験者にして、庭景観に対する印象を計測する実験を行った。実験内容は、被験者の主観的な類似性で景観を分類させる実験、景観写真のもつ文化が認識できるかを計測するため写真の出身国を問う国弁別実験、主観的な嗜好を計測するための好ましい景観と理由を問う実験などを行った。その結果、日本の学生は、日本と外国の景観は違いをよく認識できることがわかった。 また、景観写真から、電柱などの景観とは直接関係ない外部要因や、オブジェなどの内部要因の2種類の物理的標識を消去する画像処理を38軒の写真で行った。東京大学の同一被験者に対して6ヶ月に再び国弁別実験を行った。その結果、2回の国の弁別がほぼすべての被験者で固定する景観が30程度あり、文化認識が安定している景観の存在がわかった。また、物理的標識では、丸型剪定は日本をイメージし、椅子・テーブルは外国をイメージさせることがわかった。まだ、まとめきっていないデータが数多く残っていて、それをまとめて、国際比較を行うのが今後の課題である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 安達めぐみ: "人間の自然に対する反応は生得的か?-バイオフィリア仮説とバイオフィビア仮説-"農業および園芸. 77・9. 947-953 (2002)
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[Publications] 羽生和紀: "個人の庭に対する知覚と推論:居住国と知識の影響"MERA Journal. 15. 1-10 (2002)
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[Publications] 羽生和紀: "環境の質の評価-POE."公共建築. 44・4. 20-23 (2002)
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[Publications] 山下雅子: "再認判断に及ぼす刺激の呈示先行性と鮮明性の影響"基礎心理学研究. 20. 87-96 (2002)