2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12480090
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
奥乃 博 京都大学, 情報学研究科, 教授 (60318201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 達也 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (00234104)
後藤 真孝 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報処理研究部門, 研究員
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Keywords | 音オントロジー / 楽器音の音源同定 / FO依存多次元正規分布 / 両耳間位相差による音源定位 / 楽器の断層的認識 / 教師なし学習 / クラスタリング / 決定木学習 |
Research Abstract |
最終年度は、これまでの音高依存性および音源定位をキーワードにこれまでの成果を展開し、ジャーナル論文を投稿するとともに、複数のトップレベルの音響処理・人工知能に関する国際会議に論文を投稿した。また、従来取り組まれていなかった複数打楽器演奏の音源同定にも取り組んだ。主な研究成果を下記にまとめる。 1.音高依存性を利用した楽器音の音源同定-楽器音の特徴量の音高依存性を、より精度良く表現するために、平均が基本周波数(FO)により変化するFO依存多次元正規分布を提案した。これにより、FO依存部分、非依存部分が正規分布の平均と分散で取り扱える。本手法により、楽器音の単音での音源(楽器)同定が、従来手法よりも個々の楽器レベルで平均16.48%、カテゴリーレベルで平均20.67%の認識誤りを削減できた。 2.音色類似度と定位情報による楽音分離-位相差の変動に着目して各周波数成分の重なりを判定し、重なり情報を利用して単音を形成する同時的グルーピングと、得られた単音の音色類似度と定位情報を手がかりとしてパートごとの流れを形成する継時的グルーピングの2つの処理から構成される複数楽器音の音源同定分離システムを提案した。無響室で録音した四重奏に対して、提案手法の有効性を確認した。 3.打楽器音の音色認識-ドラム群とシンバル群とを音響フィルタで分離し、ドラム群の大きな個体差・演奏差には教師なし学習で、シンバル群のスネアドラムとの混同問題には誤りパターンに対するヒューリスティクスの自動学習により解決を図った。MIDI音源、市販CDにより提案手法の有効性を確認した。 4.音オントロジーのシステマティックな構成法-FO依存多次元正規分布で表現された特徴量から、群判別を繰り返すことにより、階層的な楽器音の表現を構築するとともに、複数の音オントロジーを自動変換する枠組の基礎が確立できた。さらに、従来の楽器音階層の常識とは反する新たな音楽的な知見が得られた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 北原鉄朗, 後藤真孝, 奥乃博: "音高による音色変化に着目した楽器音の音源同定: FO依存多次元正規分布に基づく識別手法"情報処理学会論文誌. 条件付採録. (2003)
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[Publications] Kitahara, Goto, Okuno: "Musical Instrument Identification based on FO-dependent Multivariate Nor-mal Distribution"Proc. of 2003 International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing (ICASSP'2003), IEEE. Accepted. (2003)
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[Publications] Kitahara, Goto, Okuno: "Pitch-dependent Musical Instrument Identification and Its Application to Musical Sound Ontology"Proc. of 16th Intern'l Conf. on Industrial and Engineering Applications of Artificial Intelligence and Expert Systems (IEA/AIE-2003), Lecture Notes in Artificial Intelligence Springer-Verlag. Accepted. (2003)
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[Publications] 桜庭 洋平, 後藤 真孝, 奥乃 博: "定位情報と音色情報を用いた複数楽器音の認識"情報処理学会音楽情報処理研究会. SIG-MUS 46. 1-8 (2002)
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[Publications] 北原 鉄朗, 後藤 真孝, 奥乃 博: "楽器音を対象とした音源同定:音高による音色変化を考慮する識別手法の検討"情報処理学会音楽情報処理研究会. SIG-MUS 46. 9-16 (2002)
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[Publications] 吉井和佳, 北原鉄朗, 櫻庭洋平, 奥乃 博: "教師なしクラスタリングと認識誤りパターンを利用した打楽器音の音源同定"情報処理学会第65回全国大会. 1P-3. (2003)
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[Publications] 日本認知科学会: "『認知科学辞典』推論・問題解決,コミュニケーションとネットワーク,CHインターフェース"共立出版. 1026+x (2002)