2001 Fiscal Year Annual Research Report
合成開口レーダー画像を用いた地震被害判読技術に関する研究
Project/Area Number |
12480109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小檜山 雅之 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10333577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 久 (株)基礎地盤コンサルタンツ技術開発室, 研究員
若松 加寿江 (財)震災予防協会, 研究員 (10132789)
松岡 昌志 防災科学研究所, 地震防災フロンティア研究センター, 副チームリーダー(研究職)
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Keywords | 合成開口レーダー / リモートセンシング / 地震 / 被害把握 / 1993年北海道南西沖地震 / 1995年兵庫県南部地震 / ERS / SAR / JERS / SAR |
Research Abstract |
合成開口レーダー(SAR)は雲などの天候や昼夜の別などに影響されないマイクロ波を使った能動的センサである.本研究では人工衛星や航空機に搭載したセンサからのSAR画像を用いて,地震被害を判読するための技術について研究を行った.まず,SARによる地震被害把握の可能性について検討するために,1995年兵庫県南部地震の際の現地調査に基づく被害データと地震前後のERS/SAR画像とを用いて,被害地域における後方散乱特性について検討した.強度の差分値と相関値を説明変数とした線形判別分析により大被害地域を抽出したところ,それが実際の被害調査結果と概ね対応することを確認した.また,SARによる地震被害検出手法の構築のために,地震前と地震後のそれぞれの期間において,阪神・淡路地域を観測したERSとJERSの複数のSAR画像の時系列解析を行った.その結果,建物被害地域での後方散乱強度の差分値と相関値の低下は地震に起因することを明らかにし,これらの指標で建物被害に伴う地表変化をモニタリングする上では,マイクロ波の波長や入射角等の影響はそれほどないことがわかった.そして,後方散乱強度の差分値と相関値に基づく被害検出手法を複数時期の画像に適用し,実際の被害データと比較することでその検出精度を明らかにした. また,1993年北海道南西沖地震を対象に,SAR画像を用いて地震被害分布の抽出を試みた.2時期のSAR画像より求められる強度差分値,相関値,コヒーレンスを判別指標として,地震前々,地震前後,地震後々の組み合わせにおける各指標の特徴を検討し,3つの判別指標を用い被害地域の抽出する手法を提案した.この手法により抽出した高い危険度の地域は,実際の被害分布とよく一致しすることが確認された.
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[Publications] 松岡昌志, 山崎文雄: "1995年兵庫県南部地震での建物被害地域における人工衛星SAR強度画像の特徴"日本建築学会構造系論文集. No.546. 55-61 (2001)
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[Publications] 松岡昌志, 山崎文雄: "人工衛星SARによる被害地域抽出手法の1999年トルコ地震と2001年インド地震への適用"第26回地震工学研究発表会講演論文集(土木学会). 9-12 (2001)
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[Publications] 松岡昌志, 山崎文雄: "1995年兵庫県南部地震での建物被害地域における人工衛星SAR強度画像の時系列変化"日本建築学会大会学術講演概要集. B2. 203-204 (2001)
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[Publications] 松岡昌志, 山崎文雄: "SAR画像による建物被害地域の判読に及ぼすスペックル低減フィルタの影響"日本写真測量学会秋季学術講演会発表論文集. 51-54 (2001)
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[Publications] 松岡昌志, 山崎文雄: "SAR画像を利用した建物被害地域の判読のための画像処理に関する考察"日本リモートセンシング学会第31回学術講演会論文集. 269-270 (2001)
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[Publications] 松岡昌志, 山崎文雄: "人工衛星SAR強度画像による建物被害地域の検出手法"日本建築学会構造系論文集. 551. 53-60 (2002)