2000 Fiscal Year Annual Research Report
火山ガラスの水和からみたシラス斜面の風化過程と崩壊予測
Project/Area Number |
12480113
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩松 暉 鹿児島大学, 理学部, 教授 (80018663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 修一郎 島根大学, 総合理工学部, 教授 (60211653)
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40284864)
北村 良介 鹿児島大学, 工学部, 教授 (70111979)
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Keywords | シラス災害 / 火山ガラス / 水和 / 屈折率 / 風化 |
Research Abstract |
シラス災害の防止のためには,その崩壊のもととなる,シラス斜面表層の劣化部の諸性質をあらかじめ把握しておく必要がある.シラスはほとんどが火山ガラスからなるので,その劣化の程度は火山ガラスの性質の変化を用いることによって定量的に表現できよう.火山ガラスは水和の進行によって風化し,粘土化していく.火山ガラスは水和するとその屈折率が上がるということが知られている. 本研究では,シラスに含まれる火山ガラスの水和の進行をその屈折率から定量的に知るために,まず,京都フィッショントラック社製温度変化型屈折率測定装置(RIMS)を鹿児島大学に導入した(平成12年9月22日).そして,いくつかのシラス(入戸火砕流の非溶結部)斜面の人工的なカット面で,火山ガラスのサンプリングを行い,その屈折率の測定を行った. その結果,シラスに含まれる火山ガラスのうち,厚みのある火山ガラスでは,完全に水和した表層部(水和層)と水和を受けていない中心部分(非水和層)があることが明かとなった.火山ガラスの水和層の厚さは,風化の進行の度合いを示していると考えられるので,水和層の厚さを測定することによって,シラス斜面表層部の風化の程度を定量的に表現できる可能性が高いことがわかった. 一方,Friedman and Smith(1960)は,水和の速度はガラスの化学組成,堆積時の温度,地下水の化学成分に影響されることを指摘している.シラス(入戸火砕流の非溶結部)の場合,ガラスの化学組成と堆積時の温度はほぼ同じと考えてよい.したがって,シラスに含まれる火山ガラスの水和の進行の程度(水和層の厚さ)は,シラス斜面における地下水環境の差異を示していると判断できる.
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