2000 Fiscal Year Annual Research Report
飛行時間分析法による低エネルギー水素原子の壁面反射の研究
Project/Area Number |
12480125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 郁二 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20206717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 治之 京都大学, 工学研究科, 助手 (90026039)
東 邦夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026017)
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Keywords | プラズマ対向壁 / 水素リサイクリング / 反射 / 超透過現象 / 低エネルギー水素原子 / 表面被覆率 |
Research Abstract |
核融合炉プラズマ対向壁における水素リサイクリング評価のための基礎研究として、金属表面における低エネルギー水素原子の反射挙動を、超透過現象を利用した透過プローブを用いて実験的に調べた。 パラジウム、ニッケル及びステンレス鋼等の金属試料表面をRFプラズマによって生成した低エネルギー水素原子に連続的にさらした状態では、水素が原子のまま反射される確率は極めて高く、室温においては1に近い値であった。また、金属試料を加熱すると、温度の増加と共に反射確率は小さくなった。同じ条件のプラズマにさらしている金属試料の表面における水素の被覆率を、イオンビーム分析法の一種である核反応法で測定した結果、試料温度の増加と共に被覆率は小さくなり、その温度依存性は、反射確率の温度依存性と極めて良く似ていた。 以上の実験より、水素原子は、金属表面が水素で覆われている場合には、原子のまま反射する確率が高く、水素の少ない表面に対しては、吸着されやすいことが判った。後者の結果については、一般に実験的あるいは理論的に認められていることであるが、前者については実験例がほとんど無い、新たな知見である。 更に試料の温度を高くすると、反射確率は有意に減少しなくなったが、水素の表面被覆率は減少し続けた。イオンビーム分析では最表面と表面下の水素を併せて観察していることと、最表面の水素の方が表面下の水素よりも脱着しやすいと考えられることから、水素の反射確率は最表面における水素の被覆率に依存し、表面下の水素には依存しないと考えられる。 今年度の研究では粒子反射に関する知見が得られたので、来年度の研究では、飛行時間分析法を用いて反射前後での水素原子の速度を調べ、エネルギー反射に関する実験を実施する計画である。
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