2000 Fiscal Year Annual Research Report
南海トラフのDBSRを手がかりとしたガスハイドレートの不安定性に関する研究
Project/Area Number |
12480147
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦 寿一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40251409)
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10107451)
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
廣木 義久 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (80273746)
木下 正高 東海大学, 海洋学部, 助教授 (50225009)
|
Keywords | ガスハイドレート / 南海トラフ / 塩素濃度 / 酸素同位体組成 / 水素同位体組成 / ヨウ素 |
Research Abstract |
1.南海トラフにおけるガスハイドレート探査掘削で得られた間隙水試料の分析を進め、塩素濃度、酸素同位体組成、水素同位体組成、ヨウ素濃度の深度変化を明らかにした。 掘削時に得られた堆積物の比抵抗値と分析で得られて塩素濃度を詳細に検討すると、塩素濃度の異常が大きいことが分かった。これは、堆積物中でのハイドレートの生成が水供給に関して部分的に閉鎖的なシステムで起きたことを示唆する。 2.塩素濃度と酸素同位体組成の変動パターンが整合的でないのは、塩素異常と同位体異 常発生のタイミングとメカニズムが異なることを意味する。本研究では、酸素異常は水の構造化(5員環の形成)、塩素異常はクラスレート格子形成に伴って起こると考え、酸素異常のみ認められる堆積物中では(1)まだハイドレートは形成されていない、あるいは(2)かつてハイドレートが存在したが現在は分解してしまったと解釈した。 3.南海トラフのガスハイドレートを含む堆積物中の有機物の炭素、硫黄、窒素の含有量の測定を進めている。現在のところ、ハイドレート帯にとくに顕著な有機物異常は認められない。 4.メタンの起源を明らかにするため間隙水のヨウ素濃度を分析した。ヨウ素の有機物の分解を反映して深部へ向って増加する傾向を示すが、ハイドレートが出現する深度より深いところでは逆に減少する。これは、間隙水が還元的になることを示している。 5.湧水に伴う炭酸塩チムニーの形成とハイドレートの分解との関係を実証的に明らかにするため、沖縄南方、黒島海台の多数のチムニーについて分析した。異常に重い酸素はハイドレート分解に由来する水の存在を、炭酸塩の殆どがドロマイトであることは、メタン湧水のフラックスが大きく、硫酸還元反応が顕著に起きたためと解釈した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Lu,H.,Matsumoto,R.: "Anion plays a more important role than cation in affecting gas hydrate stability in electrolyte solution?-a recognition from experimental results."Fluid Phase Equilibria. V.178. 227-234 (2001)
-
[Publications] 松本良: "海洋のメタンハイドレートの起源と資源としての可能性"SUT Bulletin(東京理科大学雑誌). 9-11 (2000)
-
[Publications] Matsumoto,R.,and Borowski,W.: "Gas Hydrate Estimated from newly determined isotopic fractionation and ^<18>O anomalies of the interstitial waters"Sci.Results,,College Station,ODP. Vol.164. 59-66 (2000)
-
[Publications] Lu Hailong,Matsumoto,R.: "Major element geochemistry of the sediments at ODP Site 997"Sci.Results,,College Station,ODP. Vol.164. 147-150 (2000)
-
[Publications] Watanabe,Y.Lu Hailong,: "Minor and trace element geochemistry of the Blake Ridge sediments at Site 997"Sci.Results,,College Station,ODP. Vol.164. 151-164 (2000)
-
[Publications] Uchida,T.,Matsumoto,R.: "Summary of Physicochemical Properties of Natural Gas Hydrates and Associated Hydrate-Bearing Sediments Obtained from the JAPEX/JNOC/GSC Mallik 2L-38 Research Well."Bull.Geol.Surv.Canada. 544. 205-228 (1999)