2001 Fiscal Year Annual Research Report
森林の破壊と再生に伴う炭素シーケストレーション機能の評価
Project/Area Number |
12480148
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小泉 博 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (50303516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30161318)
小見山 章 岐阜大学, 農学部, 教授 (60135184)
秋山 侃 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (10283318)
鞠子 茂 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (10251018)
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Keywords | 土壌呼吸速度 / 炭素循環 / 生態系純生産量 / 落葉広葉樹林 / ススキ草原 / 伐採直後 |
Research Abstract |
平成13年度は以下の点を明らかにした。 1.冷温帯落葉広葉樹林を対象にして、林冠木の伐採直後から二年間にわたり炭素動態を調査し、伐採前の林床植生(クマイザサ)の有無が炭素収支にどのような影響を及ぼしているかを明らかにした。その結果、ササの有無は土壌呼吸速度には大きな影響を及ぼさなかったが、伐採後の植物による炭素固定能に大きな影響を及ぼし、炭素収支は"ササあり区"で-50 gC m^<-2>year^<-1>、"ササなし区"で-180gCm^<-2>year^<-1>の値を示した。すなわち、伐採直後の森林生態系は炭素のソース(放出源)である可能性が推察され、炭素の放出量はササなし区の方がササあり区より3倍も高いことが示唆された。 2.長野県にある筑波大学菅平高原実験センター構内に保全されているススキ草原を対象に積み上げ法により、炭素動態と収支を明らかにした。2000年の5月から11月と2001年の4月から11月にかけて,植物体の現存量および土壌呼吸量の測定を行うと共に、実験室内で植物体の根の呼吸速度を測定し,これらに基づいて生態系純生産量を算出した。その結果、2000年、2001年ともに植物体の現存量は7月から9月にかけて急激に増加し、その後は枯死により減少した。また、土壌呼吸量の季節変動も現存量の変動と同様であった。土壌呼吸量の変動には土壌温度や根の呼吸の変動が影響していた。2001年の場合、土壌呼吸量に占める根の呼吸量の割合は5月の29%から9月の53%と大きく季節変化した。これらのデータを基礎にして推定した年間の生態系純生産量は、2000年で-36gCm^<-2>、2001年では68gCm^<-2>と見積もられ、このススキ草原の炭素収支は平衡状態に近いことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Koizumi, H. et al.: "Effect of free-air CO_2 enrichment (FACE) on CO_2 exchange at the flood-water surface in a rice paddy field"New Phytologist. 150. 231-239 (2001)
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[Publications] 小泉 博: "冷温帯落葉広葉樹林における炭素循環-高山試験地を例にして-"環境技術. 30(6). 34-37 (2001)
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[Publications] Muraoka, H. et al.: "On the convertibility of different microsite light availability indices, relative illuminance and relative photon flux density"Functional Ecology. 15. 798-803 (2001)
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[Publications] Nakadai, T. et al.: "Diurnal changes of carbon dioxide flux from bare soil in agricultural field in Japan"Applied Soil Ecology. 19. 161-171 (2002)
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[Publications] Shiyomi, M., Koizumi, H.: "Structure and Function in Agroecosystem Design and Management"CRC PRESS. 435 (2001)