2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市水域における環境微量有機物質の動態と循環・輸送モデル
Project/Area Number |
12480150
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 雅人 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10179179)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 敏 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (30144299)
横田 喜一郎 滋賀県琵琶湖研究所, 主任研究員 (40250253)
堀 智孝 京都大学, 人間環境学研究科, 教授 (40108981)
|
Keywords | 都市水域 / 環境微量有機物質 / 輸送・除去モデル / アミノ酸 / 界面活性剤 / 琵琶湖水系 / 沈降粒子 / 懸濁物質 |
Research Abstract |
当初の計画に沿ってまず、天然有機物質の中からアミノ酸を取り上げ、プランクトン、懸濁粒子,沈降粒子,堆積物を採取・分析して、琵琶湖でのアミノ酸の動態と鉛直輸送について検討した。 天然有機物質の挙動と他成分のそれとの関連を見るため、各試料を有機物,生物由来のケイ酸(ケイ酸殻)、陸起源鉱物、マンガン酸化物などの6成分に分画し、それらの挙動を比較・検討した。その結果、有機物の挙動はケイ酸殻や陸起源鉱物の影響を受けており、特にケイ酸殻に包まれた有機物は、沈降過程においてそれほど分解を受けずに下層へ輸送されていると考えられた。 懸濁粒子中の全アミノ酸・炭素の相関から得られた比と基礎生産量から、表層において生産された全アミノ酸量を求めた。琵琶湖北湖において、年間平均で518mg/m^2/dayの全アミノ酸が生産されており、そのうち、約9%が下層へ輸送されていると見積もることができた。また、全アミノ酸の分解は、全有機物よりは速く、クロロフィル-aよりは遅いと考えられた。 アミノ酸組成比について検討したところ、有機物の分解が進むにつれて、アミノ酸組成は変化していることが明らかとなり、各アミノ酸は、組成比の変化により3グループに分けることができた。プランクトンの室内での分解実験によっても、ほぼ同じグループ分けをすることができた。琵琶湖においては、これらのアミノ酸組成比の変化に珪藻殼が影響していると考えられた。 主成分分析などを用いて、アミノ酸組成比の季節変動について考察した。その結果、下層に存在する懸濁粒子中のアミノ酸組成比の季節変動は、主に成層の影響を受けており、沈降粒子中のそれは、成層や表層でのプランクトン種などの影響を受けていると考えられた。このことより、下層において懸濁粒子として存在している有機物とセジメントトラップに捕集されている有機物に違いがある可能性が示唆された。
|