2001 Fiscal Year Annual Research Report
環形動物貧毛網ミミズの遺伝子発現を指標とする土壌環境汚染解析法の開発
Project/Area Number |
12480158
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
蒲生 忍 杏林大学, 保健学部, 教授 (90122308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
中村 方子 中央大学, 経済学部, 教授 (30086996)
松本 誠治 杏林大学, 保健学部, 講師 (10086613)
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Keywords | 環形動物 / 環境汚染物質 / 遺伝子発現 / 生殖器分化 |
Research Abstract |
二ヶ所の調査地点でミミズの採集を行ない、生態と生殖器の発達について検討した。最も高頻度に観察されるフトミミズ科ヒトツモシミミズでは雌性生殖器に障害は見られないが、雄性生殖器の不完全個体が90%以上を占めた。同様の観察が1950年代に報告されており、原因が種の特性であり、単為生殖(または特異な有性生殖)により種が維持されている可能性がある。しかし、環境汚染の影響も否定しきれず、引き続き定量的な検討が必要と示唆された。 シマミミズは内分泌腺を持たないが、合成エストロゲンDES添加により成長が有意に阻害され、他の多くの動物と共通のステロイドホルモンの影響を受けることが示唆された。シマミミズは繁殖が容易だが、遺伝情報が限られている。土壌環境を最もよく反映するミミズの性分化の分子機構を明らかにすることは、土壌環境評価のみならず生物学的にも興味深い。1999年発見され、線虫から哺乳類まで保存された生殖器の形態形成に関与する転写因子DMRTの相同遺伝子をシマミミズからグローニングするため、各種動物からDMRTをPCR法により増幅し、それをプローブに解析を進めた。 ヤマトヒメミミズは体長1cmの小型ミミズで、寒天上でオートミールを餌として成長する。これは砕片分離と呼ばれる無性生殖様式をとり、成熟すると約10片に分断され、それぞれが約10日で成体へ成熟する。飼育密度を下げると、卵巣の成熟が見られ卵包を形成し、通常2〜3匹の幼体が艀化し、有性生殖の可能性を示す。ヤマトヒメミミズに対し、DESは強い毒性を示し、17βEstradiolは濃度依存的な成熟の抑制を示した。しかし、いずれの場合も卵包の形成は観察されない。砕片分離の際の細胞増殖の指標としてBrdUの取込みと抗BrdU抗体での検出、増殖と分化の情報伝達の指標としてチロシンリン酸化と抗リン酸化チロシン抗体による検出法を確立した。
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Research Products
(1 results)