2001 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリンを介するシグナル伝達の制御機構とその多様性に関する研究
Project/Area Number |
12480189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関口 清俊 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (50187845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 紹良 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (40252720)
顧 建国 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (40260369)
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Keywords | インテグリン / ラミニン / フィブロネクチン / 細胞接着 / CD151 / 細胞外マトリックス / 基底膜 |
Research Abstract |
細胞外基質からインテグリンを介して伝達されるシグナルが細胞外基質の側からどのように制御されているかを、間質系マトリックス分子であるフィブロネクチンと基底膜の主要構成分子であるラミニン-10との間で比較検討した。本年度は、特に細胞増殖と細胞生存維持に関わるシグナルに着目して解析を進めた。あらかじめ血清飢餓状態においた細胞をフィブロネクチン、シラミニン-10、および対照としてポリリジンをコートした基質上に播種し、引き続き無血清培地中で培養を続け、細胞のアポトーシスを経時的に観察した。その結果、インテグリンを介さずに細胞接着を誘導するポリリジン上では、培養7時間後で50%以上の細胞にアポトーシスが観察され、27時間後にはほぼ全ての細胞がアポトーシスをおこした。フィブロネクチン上では、ポリリジンに比べてアポトーシスの誘導は抑制されているものの、7時間後からアポトーシスが観察され、27時間後ではやはり90%以上の細胞が死滅した。一方、ラミニン-10上に播種した細胞では、培養36時間後でもアポトーシスはほとんど観察されなかった。これらの結果は、ラミニン-10からインテグリンを介して細胞内に伝達されるシグナルが非常に強くアポトーシスを抑制することを示している。このようなラミニン-10上での強いアポトーシス抑制シグナルは、P1 3-kinose/Aktの経路を介することが、(1)リン酸化Aktレベルの解析、(2)P1 3-kinose阻害剤wortmonninやdominont-negative Aktを用いた解析から示された。一方、フィブロネクチン上でのアポトーシス抑制は、P1 3-kinose/Akt経路ではなく、Ros/MEK/ERK経路を介することが(3)リン酸化ERKレベルの解析、(4)MEK阻害剤PD98059とdominont-negative MEKを用いた解析から示された。これらの結果は、異なる基質からインテグリンを介して細胞内に伝達されるシグナルは質的にはっきりと異なることを示している。
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[Publications] Fujiwara, H., et al.: "Purification and characterization of human laminin-8;laminin-8 stimulates cell adhesion and migration through α3β1 and α6β1 integrins"J.Biol.Chem.. 276. 19550-19558 (2001)
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[Publications] Matsui, Y., et al.: "Alternative splicing of fibronectin transcripts in osteochondrogenic tumors"Anticancer Res.. 21. 1103-1106 (2001)
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[Publications] Gu, J., et al.: "Laminin-10/11 and fibronectin differentially regulate integrin-dependent Rho and Rac activation via p130Cas-Crkll-DOCK180 pathway"J.Biol.Chem.. 276. 27090-27097 (2001)
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[Publications] Gu, J., et al.: "Analysis of integrin-mediated signaling from laminins"Seikagaku. 73. 1207-1214 (2001)
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[Publications] Gu, J., et al.: "Laminin-10/11 and fibronectin differentially prevent apoptosis induced by serum removal via P1 3-kinase/Akt-and MEK1/ERK-dependent pathways"J.Biol.Chem.. (in press). (2002)
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[Publications] 関口 清俊: "多細胞体の構築と細胞接着システム"共立出版. 208 (2001)