2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いるプロスタグランジン生合成系酵素の生理機能に関する研究
Project/Area Number |
12480195
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
田邉 忠 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 部長 (60025624)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多江 利久 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室員 (10251026)
横山 知永子 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室長 (90200914)
|
Keywords | プロスタグランジン / プロスタサイクリン / ノックアウトマウス / 肺高血圧 / PPARδ |
Research Abstract |
心血管系の恒常性維持のために重要な血管作動因子であるプロスタグランジン(PG)の詳細な作用機序の機序は未だに不明な点が多い。本研究ではプロスタサイクリン(PGI)合成酵素欠損マウスを解析し、個体レベルで解析する。PGI合成欠損マウスはトロンボキサン(TX)やPGEなど他のプロスタノイド産生量の増加をもたらし、心血管系の機能に間接的な影響を及ぼすことが考えられることから、PGI、TX、PGE合成欠損マウスの作成・解析を行った。 本年度は、(1)PGI合成酵素(PGIS)欠損マウスの腎臓で変動する発現遺伝子の解析を、ジーンチップを用いて解析した結果多くの炎症性発現遺伝子が発現を認めた。(2)モノクロタリン投与肺高血圧モデルラットに、肝臓でHVJリポゾーム法を用いてPGI合成酵素を発現したところ、肺胞内腔投与とほぼ類似の結果が得られた。(3)前年度PGIS欠損マウスで、血管平滑筋の増殖が認められたので、培養細胞を用いてPGISの過剰発現を行った結果、血管平滑筋や血管内皮細胞を含む多くの細胞で、PPAR応答配列を含んだレポータ遺伝子の活性化とともにアポトーシスの誘導が認められた。このアポトーシスの誘導は、ドミナントネガティブ型PPARδの共発現によって完全に抑制された。また、不活性型PGI発現ベクターをHEK-293細胞に導入した場合、レポータ遺伝子の活性化もアポトーシスも誘導されなかった。さらに、細胞外からPGIアナログ・イロプロストで刺激した場合、細胞内cAMP濃度の上昇とともに細胞内PGI-PPARδ依存型アポトーシスの抑制が認められた。cAMPアナログdbcAMPで処理したところ、濃度依存的な細胞内PGI-PPARδ依存型アポトーシスの抑制が認められた。一方、cAMPアンタゴニストであるRp-cAMPで処理したところ、細胞内PGI-PPARδ依存型アポトーシスの促進が認められた。すなわち、細胞外PGI刺激は、細胞内cAMP濃度の上昇させる結果、細胞内PGI-PPARδシグナル伝達経路を介するアポトーシスの誘導が抑制されることを見出した。 PGISは1型より2型シクロオキシゲナーゼからの基質PGH_2を受けやすいことが判明した。
|
-
[Publications] Ueno, N, Tanebe, T et al.: "Coupling between cyclooxygenases, terminal prostanoid synthasesand phospholipase A2s"J Biol Chem. 276,14. 34918-34927 (2001)
-
[Publications] Hatae, T, Yokoyama, C, Tanabe, T et al.: "Prostacyclin-dependent apoptosis mediated by PPARδ"J Biol Chem. 276,49. 46260-46267 (2001)
-
[Publications] Suhara, H, Sawa, Y, Yokoyama, C, Tanabe, T et al.: "Gene transfer of human prostacyclin synthase into the liver is effective for a treatment of pulmonary hypertension in rats"J Thorac Cardiovasc Surg. (in press). (2002)