2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12480196
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 陽子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40158043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝松 正樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60251328)
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Keywords | 微小管 / ダイニン / テトラヒメナ / 繊毛運動 / ATP結合部位 / ATPase |
Research Abstract |
本研究では、ダイニン分子に特徴的な性質である4つのATP結合部位の役割を探ることを目的に、モノマーダイニンを精製し、そのATPase活性と運動活性をさまざまな条件下で測定した。 テトラヒメナ繊毛からダイニンを抽出し、ショ糖密度勾配遠心により内腕ダイニンを分画し、さらに陰イオン交換クロマトグラフィーによりaダイニンを単離精製した。このaダイニンはモノマーであることを、密度勾配遠心によるS値とネガティブステイン法による電子顕微鏡観察により確認した。ATP、ADPの濃度を変化させて活性を測定したところ、ATPase活性、運動速度とも、10μM程度のADPが存在するときはミカエリスーメンテン型を示したが、ATP再生系を入れてADP濃度を低く抑えると、単純なミカエリスーメンテンには従わなかった。後者の場合には、Km,Vmaxが異なるような2種類以上のATP加水分解部位が存在するか、ATP加水分解部位とは別にATPを結合することにより加水分解部位の活性を制御するATP結合部位が存在すると考えられる。また、非常に低い濃度のADPを結合できるような、ADPに対して高い親和性を持つ部位が存在することも明らかになった。 これらの結果は、モノマーのダイニンでは実際に複数のATPやADPを結合することと、加水分解に関与しないADP結合部位が存在し、結合や解離の状態の情報を加水分解部位に伝えて活性を制御していることを強く示唆している。分子レベルで複数のATP結合部位の機能と役割が確認されたことで、今後のダイニンの研究に方向を与えることができたと考えている。
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