2001 Fiscal Year Annual Research Report
高圧温度ジャンプ法と計算機シミュレーションによるタンパク質フォールディング研究
Project/Area Number |
12480197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70091444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 宗仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90302801)
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Keywords | フォールディング / 温度ジャンプ法 / 分子動力学 / スタフィロコッカル・ヌクレアーゼ / α-ラクトアルブミン / カルシウム結合リゾチーム / アンフォールディング |
Research Abstract |
本研究計画では、蛋白質フォールディング機構解明を目的として、以下の研究を行う。 (1)高圧条件下でのジュール熱方式温度ジャンプ法を用いて、スタフィロコッカル・ヌクレアーゼ(SNase)、α-ラクトアルブミン(αLA)及びカルシウム結合性リゾチームの巻き戻り速度過程をマイクロ秒からミリ秒の時間域で追跡する。 (2)αLA、カルシウム結合性リゾチーム及びSNaseを対象に、フォールディング過程の原子レベルでの記述を行う。そのため、分子動力学法による高温下(400〜600K)でのアンフォールディング・シミュレーションを行う。 本年度研究により以下の成果が得られた。 (1)巻き戻り測定には、光吸収のみならず芳香族側鎖の蛍光スペクトルも用いる。芳香族領域の蛍光スペクトルを用いてフォールディング反応の追跡するため,昨年度製作した装置に改良加工を加えた。 (2)本研究で用いるモデル蛋白質SNase(プロリン残基を含まない疑似野生型)の酸変性状態からの巻き戻り反応をpHジャンプ法により追跡し,並行フォールディング経路が存在することを明らかとした。 (3)SNaseにThr69AlaとSer90Alaの変異を加え,変異体のフォールディング反応を(2)と同様に追跡した。これらの変異体では中間体が不安定化し巻き戻り速度が遅くなることがわかった。(2)と(3)の結果は高圧温度ジャンプによる実験の基礎データとなる。 (4)ヤギαLAのN末端にメチオニンが付いた組換え体は天然の真性体と比べると100倍近くアンフォールディング速度が速いことが知られている。これら両者のアンフォールディングシミュレーションを分子動力学法で行い,予備的な結果を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Horii: "Contribution of Thr29 to the thermodynamic stability of goat alpha-lactalbumin as determined by experimental and theoretical approaches"Proteins. 45. 16-29 (2001)
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[Publications] T.Makio: "Nucleotide-Induced Transition of GroEL from the High-affinity to the Low-affinity State for a Target Protein : Effect of ATP and ADP on the GroEL-Affected Refolding of alpha-Lactalbumin"J.Mol.Biol.. 312. 555-567 (2001)
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[Publications] T.Inobe: "Nucleotide binding to the chaperonin GroEL : Noncooperative binding of ATP analogs and ADP, and cooperative effect of ATP"Biochimica et Biophysica Acta. 1545. 160-173 (2001)
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[Publications] K.Kuwajima: "Chaperonin-Affected Folding of Globular Proteins"J.Biol.Phys.. 28(印刷中). (2002)
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[Publications] 桑島 邦博: "蛋白質フォールディングの2つの描像:普遍的描像は可能か?"蛋白質 核酸 酵素. (印刷中).