2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12480198
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藤 敏夫 金沢大学, 理学部, 教授 (50184320)
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Keywords | モータータンパク質 / ミオシンV / アクチン / ATPase / プロセッシブ運動 / 滑り運動 |
Research Abstract |
1)単頭ミオシンVの調製:単頭でもミオシンVがプロセッシブな滑り運動を示すかどうか、また、もしそうである場合に極めて容易になる滑り運動とATPターンオーバーの同時観察を行うために(2ヘッドの内片方がライガーとなり運動を妨げてしまうという問題が回避される)、単頭ミオシンVの調製を試みた。+Caの条件では、カルモジュリンの一部が解離し、その結果ネック領域での切断が起こった。すなわちS1の生成が起こった。現在S1の精製を試みている。 2)1分子滑り運動の解析:ミオシンV1分子の滑り運動を時間分解能33msec、空間分解能約20nmで解析した。2mMATPではマクロに見ると300nm程度の滑らかな運動と短時間の停止が見られた。この運動と停止の合計時間はATPaseサイクルタイム0.4秒と同程度であった。それ故、この300nmの変位が1ATPaseサイクルで起こることを示唆した。この一見滑らかに見える運動を詳細にみると連続した小さなステップ(30から50nm)から成っていた。レーザートラップ法で観察されているステップに対応するものと思われる。 3)ATPaseの基本的性質:ネイティブなミオシンVのATPaseキネティクスの情報は極めて少ない。アクチンに対するKm(A)と最大活性Vm以外の情報がない。そこで、ATPに対するKm、及びアクチン滑り運動のATP濃度依存性を調べた。ミオシンVのKmは他のミオシンに比べて極めて大きい(0.4mM程度)ことが判明した。アクチンの滑り速度はATPaseと類似のATP濃度依存性を示した。ミオシンV1分子の滑り運動のATP濃度依存性はこれらとは異なり、低いKm(70uM程度)を示す。この食い違いについて現在検討中である。 4)W-View光学系の製作:次年度に計画しているATPターンオーバーと滑り運動との同時観察を行うために、この光学系を設計し、現在工作室で製作中である。 5)高分解能トラッキングシステムの製作:プロセッシブ運動中のミクロなステップを高時間空間分解でトラッキングできる装置を設計中である。
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[Publications] Sakamoto,T.,Amitani,I.Ando,T.: "Direct Observation of Processive Movement by Individual Myosin V Molecules."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 272・2. 586-590 (2000)
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[Publications] Amitani,I.,Sakamoto,T.Ando,T.: "Link between the Enzymatic Kinetics and Mechanical Behavior in an Actomyosin Motor."Biophys.J.. 80. 379-397 (2001)