2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12480201
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
月向 邦彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10023467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大前 英司 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30284152)
郷 通子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70037290)
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Keywords | ジヒドロ葉酸還元酵素 / 圧縮率 / 高圧NMR / 原子間の空間 / ゆらぎ / 酵素機能 |
Research Abstract |
ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)は、補酵素NADPHを水素供与体としてジヒドロ葉酸(DHF)をテトラヒドロ葉酸(THF)に還元する反応を触媒する。月向は、この反応に含まれる種々の中間複合体の断熱圧縮率を測定し、反応の進行とともにリガンドの結合・反応・解離により圧縮率が大きく変化すること、また、X線構造から求めたキャビティー量が多いほど圧縮率が大きいことを見出した。このことは、キャビティーがゆらぎの発現の場となっており、機能発現に重要な役割を演じていることを示している。DHFRの3つのフレキシブルループに存在するGly67,Gly121,Ala145位を種々のアミノ酸に置換した結果、圧縮率は1アミノ酸置換により大きく影響を受けることを見出した。圧縮率の大きい変異体ほど酵素活性が高く、構造のゆらぎは機能発現に有利に働いていることがわかった。また、圧縮率の大きい変異体はキャビティーも多く、アミノ酸置換の影響は置換部位から遠く離れた部位でのキャビティーの数や大きさに影響し、ゆらぎの改変をとおして機能にまで及んでいることがわかった。赤坂は高圧NMRを用い、RalGDSのRas結合ドメインは2000気圧までの圧力下で全体の立体構造は壊れないものの、疎水性キャビティーの近傍の構造が解けることを見出した。また、c-Myb R2蛋白質のサブドメインにおいてキャビティーを埋めるようなアミノ酸置換により、耐圧性が増すことを見出した。さらに、Ubiquitinは天然状態で2つのコンフォマーが存在することを見出し、高圧NMRがわずかなエネルギー差による構造変化を敏感に観察できることを示した。このように、蛋白質の原子空間(圧力効果)に着目することにより、蛋白質の構造と機能において新規で重要な知見が得られることがわかった。
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Research Products
(1 results)