2002 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエを用いた脳の感覚情報処理回路の綱羅的解析
Project/Area Number |
12480205
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 啓 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (00311192)
|
Keywords | キイロショウジョウバエ / 神経回路網 / 脳 / エンハンサートラップ / 電子画像データベース / 三次元再構成 / 感覚情報 / GFP |
Research Abstract |
本研究は、脳解析のモデル系であるキイロショウジョウバエの、脳全体の詳細な神経回路図を作成する長期計画の基盤となる最初の期間として、脳の感覚情報の入力処理部に注目し、細胞の網羅的な同定を目指している。今期の最終年度となる14年度の研究では、前年度までに作成した3939のGAL4エンハンサートラップ系統の成虫脳の共焦点蛍光顕微鏡画像データベースに続き、幼虫脳について6万5902枚の画像をデータベース化した。これによって、各系統の蛹変態期の前と後での発現パターンを比較できるようになった。 これらの画像を用いてスクリーニングを行なった結果、視覚系感覚回路に関しては低次感覚野から脳本体に到る情報伝達経路を、従来知られていた12経路を大幅に上回る44経路を同定した。また嗅覚系感覚回路に関しては、一次感覚野から二次感覚野への情報伝達経路を、従来知られていた3経路に対し、10経路同定した。さらにこれまで全く研究が進んでいなかった聴覚系感覚回路に関しては、聴覚感覚細胞の中枢への投射経路を始めて体系的に同定し、聴覚一次感覚野の7ケ所の領域に投射する9種類の聴覚神経を同定した。また成虫脳の中央部に位置する中心体に関しては、これまで全く知られていなかった幼虫期の前駆体神経回路を始めて同定し、蛹期の回路形成過程の概要を明らかにした。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Kido, A., Ito, K.: "Mushroom bodies are not required for courtship behavior by normal and sexually mosaic Drosophila"Journal of Neurobiology. 52. 302-311 (2002)
-
[Publications] Hayashi, S., Ito, K., Sado, Y., Taniguchi, M., Akimoto, A., Takeuchi, H., Aigaki, T., Matsuzaki, F., Nakagoshi, H., Tanimura, T., Ueda, R., Uemura, T., Yoshihara, M., Goto, S.: "GETDB, a database compiling expression patterns and molecular locations of a collection of Gal4 enhancer traps"Genesis. 34. 58-61 (2002)
-
[Publications] Ito, K., Okada, R., Tanaka, N.K., Awasaki, T.: "Cautionary observations on preparing and interpreting brain images using molecular biology-based staining techniques"Microscopy Research & Technique. (印刷中). (2003)