2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12480214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 由季子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (70252525)
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Keywords | JNK / MST / カスペース / アポトーシス |
Research Abstract |
ストレスで活性化するMAPキナーゼスーパーファミリーJNK、p38の経路の上流に位置するMST1の機能を検討した。MST1は細胞に発現すると細胞膜のblebbingや核の凝縮を引き起こし、アポトーシス様の形態変化を引き起こす。本研究において、MST1はこれらのアポトーシス様の形態変化をJNKの活性化を介して引き起こしていることを明らかにした。また、MST1はJNKの活性化によりDNAのヌクレオソーム単位の断片化を引き起こすが、これはカスペースの活性化を介していることが明らかになった。一方、核の凝縮と細胞膜のblebbingはカスペース活性を抑制しても誘導された。従って、MST1-JNK経路はカスペース依存的・非依存的両方の経路を介して細胞死を誘導することが示唆された。 MST1は、カスペースの上流に位置するだけでなく、カスペースによって切断されて活性化をされることを我々のグループは以前に報告した。本研究によって、MST1はC末端側に核外移行シグナル(NES)を有しており、NES依存的に細胞質局在を示すこと、またカスペースによる切断によりMST1のNESがキナーゼドメインから離れ、キナーゼドメインの核移行が起こることが明らかになった。さらに、核内に局在することがMST1による核凝縮誘導を促進することも示唆された。従ってMST1が、アポトーシス刺激によって核内移行し、核の凝縮を誘導するメッセンジャーとして働いている可能性が示唆された。
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[Publications] Fujishiro,M.: "MKK6/3 and p38 MAPK Pathway Activation is not Necessary for Insulin-Induced Glucose Uptake, but Regulates Glucose Transporter Expression"J.Biol.Chem.. (in press). (2001)
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[Publications] Ura.S.: "MST1-JNK promotes apoptosis via caspase-dependent and-independent pathways"Genes to Cells. (in press). (2001)
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[Publications] 後藤由季子: "細胞死の分子メカニズム-多様性への理解-"Molecular Medicine. 37. 384-390 (2000)
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[Publications] 鶴田文憲: "生存シグナルとアポトーシスシグナルのクロストーク"実験医学. 18. 1384-1390 (2000)
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[Publications] 浦誠司: "PI3K-Akt経路のシグナル伝達"現代科学. 増刊37. 95-103 (2000)
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[Publications] 森靖典: "サバイバルシグナルとアポトーシス-生のシグナル:Aktを中心に-"Apoptosis Watch for Cancer Chemotherapy. 3. 14-15 (2000)