2000 Fiscal Year Annual Research Report
膜リン脂質の配向性制御分子の同定とその機能についての研究:細胞の形態形成における役割に着目して
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12480220
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
梅田 真郷 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10185069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 和生 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (80300953)
伊藤 康一 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (30291149)
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Keywords | リン脂質 / 細胞骨格 / 脂質二重層 / 細胞膜 / 神経細胞 / アクチン / 酵母 / ホスファチジルエタノールアミン |
Research Abstract |
細胞の形態及び極性形成の初期段階において、細胞膜の特定部位へのアクチンフィラメント系分子の集積と再構築が行われるが、その位置を決定するシグナルがどのように形成されているのか未だ明らかではない。本研究では、第一に、膜リン脂質の非対称分布に異常を来した酵母変異株を樹立し、その遺伝子情報を解析することにより膜リン脂質の配向性を規定する分子機構を明らかにする。第二に、膜リン脂質の配向性制御分子の酵母の出芽形成および神経細胞の軸索形成における役割を解析することにより、細胞骨格再編に如何に関わるかを検証する。この一連の解析を通じて、膜と細胞骨格の新たなクロストークに関する我々の仮説を検証し、さらに細胞形態の形成過程におけるリン脂質配向性制御分子の役割を明らかにすることを目的に研究を進めている。酵母変異株の樹立と解析-突然変異を誘発したS.cerevisiaeMHY501株5万コロニーよりPE結合性ペプチドに対する高感受性変異株15株、耐性変異株44株を樹立した。本年度は、高感受性変異株について解析を進めた。解析した6株はいずれも細胞内PE量の増加および細胞壁の状態変化は認められず、細胞内でのホスファチジルエタノールアミン分子の輸送あるいは存在状態に異常をきたした細胞株であると考えられた。これらの変異株にYCp50ライブラリーを導入することにより変異遺伝子の検索を行い、4株(S3,S6,S10,S15)について、シングルコピーで相補する遺伝子が同定された。S3株は第14染色体上の未知遺伝子(YNL323W)により変異が相補され、YNL323Wの破壊株を作製することにより同遺伝子の変異がペプチドに対す高感受性の原因であることを確認した。S3株の原因遺伝子をクローニングし詳細に解析した結果、同遺伝子は新規の膜貫通蛋白質をコードしていることが明らかとなり、同蛋白質をROS3と命名した。Ga17プロモーターを用いてROS3分子を親株に高発現させると、一つの細胞から多数の出芽が観察された。これらの知見は、ROS3分子が形質膜におけるホスファチジルエタノールアミン分子の動態の制御とともに、出芽部位の決定など細胞膜直下でのアクチン線維の動態をも制御することが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Emoto,K. et al.: "An essential role for a membrane lipid in cytokinesis : Regulation of contractile rin disassembly by redistribution of phosphatidy lethanolamine."J.Cell Biology. 149. 1215-1224 (2000)
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[Publications] Harada,A., et al.: "Nadrin, an novel neuron-specific GTPase activating protein involved in regulated exocytosis."J.Biol.Chem.. 275. 36885-36891 (2000)
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[Publications] Itoh,K. et al.: "Differential expression of alternatively spliced neural cell adhesion molecule L1 isoforms during oligodendrocyte differentiation."J.Neurosci.Res,. 60. 579-586 (2000)
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[Publications] Kobayashi,H. et al.: "Lethal and non-lethal responses of spermatozoa from a wide variety of vertebrates and invertabrates to lysenin, a protein from the coelomic fluid of the earthworm Eisenia foetida."J.Exp.Zoology. 286. 538-549 (2000)
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[Publications] 梅田真郷,山路顕子: "脂質のダイナミクスと細胞機能"ニューバイオフィズイックスシリーズ「生体膜のダイナミクス」、共立出版. 100-118 (2000)
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[Publications] 梅田真郷: "抗イディオタイプ抗体"生物薬科学実験講座「脂質」、廣川書店. 316-324 (2000)