2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の分化過程におけるアポトーシスの制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
12480227
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 裕樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (40260715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本山 昇 国立長寿医療研究センター, 老年病研究部, 室長 (50277282)
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Keywords | Apafl / ニューロン / アポトーシス / ミトコンドリア |
Research Abstract |
これまで、ミトコンドリア依存性アポトーシスにおけるアダプター分子Apaflを欠損するマウスを作成し、Apaflが胎仔脳に強く発現することやApafl欠損胎仔ではニューロンのアポトーシスが生じずニューロンの蓄積による脳の変形が生じること、またアポトーシス抑制分子Bcl-xlを欠損するマウスでは、ニューロンに過剰なアポトーシスが生じることを報告してきた。本研究の目的は、Apafl、Bcl-xl両分子を欠損するマウスを解析する事により、胎生期、特に神経系の発生過程におけるアポトーシスの制御機構を解明することである。 Apafl、Bcl-xl両分子を欠損するマウス胎仔においては、Apafl単独欠損マウスと同様に脳の変形やアポトーシスの低下が見られ、Bcl-xlの欠損がApafl欠損による表現型を補えないことが示された。Apaflはmitosis期にあるニューロン前駆細胞にアポトーシスを誘導する一方で、Bcl-xlはpost-mitosis期にあるニューロンのアポトーシスを抑制することが示唆されている。しかしながら、Apafl、Bcl-xl両分子を欠損するマウス胎仔は、Bcl-xl単独欠損の場合と同様胎生13日に死亡することが明らかとなった。両分子欠損マウスの胎仔肝においては、Bcl-xl単独欠損と同様の血球系細胞のアポトーシスが観察され、このことは逆にApafl欠損がBcl-xlの欠損による表現型を補えないことを示している。ApaflやBcl-xlなどのアポトーシス関連分子は、すべての細胞で同じ働きを持つわけではなく、胎生期の様々な臓器・組織において異なる要求性に応じて細胞のアポトーシスを制御していることが示された。
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[Publications] Miyazaki K他: "Caspase-independent cell death and mitochondrial disrupsions observed in the apafl-deficient cells"J. Biochem (Tokyo). 129・6. 963-969 (2001)
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[Publications] Guo Z他: "Inactivation of the retinoblastoma tumor suppressor induces apoptosis protease-activating factor-1 dependent and independent apoptotic pathways during embryogenesis"Cancer Res. 61・23. 8395-8400 (2001)