2001 Fiscal Year Annual Research Report
中枢ニューロンにおける種々の刺激によるアポトーシスの細胞内シグナル解析
Project/Area Number |
12480229
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 雅司 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (90304055)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎戸 靖 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (90263326)
|
Keywords | アポトーシス / ニューロトロフィン / MAPキナーゼスーパーファミリー / パーキンソン病 / 中脳黒質 / 小脳 / 脳由来神経栄養因子(BDNF) / チロシンホスファターゼ |
Research Abstract |
パーキンソン病において脱落することが知られている中脳黒質ドーパミン作動性ニューロンに着目し、脳由来神経栄養因子(BDNF)の生存促進効果における細胞質型チロシンホスファターゼShp-2の役割についてアデノウイルス発現系を用いて解析を行った。その結果、Shp-2が培養黒質ドーパミン作動性ニューロンにおいてBDNFによる生存促進効果を正に制御する因子であること、さらにはShp-2によるBIT/SHPS-1の脱リン酸化が、BDNFによる生存シグナル経路に関与している可能性を見いだした。また、我々はShp-2およびBIT/SHPS-1がPI3-KとMAPKの活性化を介してBDNFの生存促進効果を増強していることを明らかにした。以上の研究は中脳黒質ドーパミン作動性ニューロンの変性を原因とする神経変性疾患であるパーキンソン病に対する根本的治療の確立に結びつくと考えられる。 幼若ラットより培養した小脳顆粒細胞は、高カリウム(26mM ; HK)を含む培地中で生存、成熟させることができる。成熟後、低カリウム(5mM;LK)培地に交換することにより、急速にアポトーシスを引き起こすことができ、その結果、24時間で50%以上もの細胞が死滅する。この低カリウムで誘導されるアポトーシスにおけるMAPキナーゼスーパーファミリー(ERK, JNK, p38 MAPK)の役割については不明な点が多い。本研究において、我々は、(1) p38 MAPKがc-Junの活性化およびアポトーシス誘導に深く関与していること、(2) ASK1がp38 MAPKがc-Junの活性制御を行う上流因子であること、(3) ASK1-p38 MAPK-c-Jun経路がPI3-Kによって活性化抑制を受けていること、(4) ERKがp38 MAPKの下流でアポトーシス誘導に関与していることを明らかにした。
|
-
[Publications] 山岸 覚: "p38 mitogen-activated protein kinase regulates low potassium-induced c-Jun phosphorylation and apoptosis in cultured cerebellar granule neurons"Journal of Biological Chemistry. 276・7. 5129-5133 (2001)
-
[Publications] 稲村 直子: "Involvement of c-Jun N-terminal kinase and caspase 3-like protease in DNA damage-induced, p53-mediated apoptosis of cultured mouse cerebellar granule neurons"Brain Research. 904・2. 270-278 (2001)
-
[Publications] 山田 雅司: "Differences in survival-promoting effects and intracellular signaling properties of BDNF and IGF-1 in cultured cerebral cortical neurons"Journal of Neurochemistry. 78・5. 940-951 (2001)
-
[Publications] 村井 真知子: "Early postnatal ataxia and abnormal cerebellar development in mice lacking Xeroderma pigmentosum Group A and Cockayne syndrome Group B DNA repair genes"Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 98・23. 13379-13384 (2001)