2002 Fiscal Year Annual Research Report
歩行における左右肢の協調運動パタンを制御する神経機構とその分化
Project/Area Number |
12480245
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
工藤 典雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60014239)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西丸 広史 筑波大学, 基礎医学系, 助手 (20302408)
尾崎 繁 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60292546)
山本 三幸 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (80143147)
|
Keywords | 脊髄 / スライス / ラット / 歩行運動 / 交叉性ニューロン / 発達 / リズム形成回路 |
Research Abstract |
本研究では、発達期のラット脊髄における歩行運動の際のリズム活動を形成する神経メカニズムを調べる目的で、運動ニューロン群にリズム活動を誘発することが可能なラット胎児の脊髄スライス標本を開発し、その神経メカニズムを調べた。まず、ラット胎児(胎生15.5-16.5日)腰髄を摘出しスライス標本(厚さ200-500μm)を作製し、可視下に運動ニューロンを同定してホールセル・パッチクランプ記録を行なった。セロトニンの灌流投与によりこれらの運動ニューロンにリズミックなシナプス入力が観察された。このリズム活動は脊髄摘出標本の腰髄前根において見られる歩行運動様リズム活動とそのバーストの持続時間や頻度がほぼ同じであった。また、あらかじめカルシウム感受性色素で左右の運動ニューロン群を逆行性に染色した脊髄摘出標本からスライス標本を作製し、カルシウムイメージング法を用いて左右の運動ニューロン群の活動を記録したところ、セロトニンの灌流投与により両側の運動ニューロン群それぞれに、個々の運動ニューロンのリズミックなシナプス入力に対応した活動が観察された。この活動は左右で同期しており、GABA_A、グリシンおよびグルタミン酸受容体阻害薬の同時投与によって消失した。さらに運動ニューロン群に加えて交叉性ニューロンをカルシウム感受性色素で標識したスライス標本を用いてそれぞれのニューロン群の活動を同時記録したところ、運動ニューロン群のリズム活動に一致した周期的な細胞内カルシウム濃度の上昇が同側の交叉性ニューロン群にも認められた。このことから、これらの交叉性ニューロンがこのスライス標本においてもリズム形成回路網の左右の結合を担っていることが示唆された。また、スライス標本の背側部分1/2を切除してもこの同期したリズム活動が記録されたことから、こうしたリズム形成回路網の主要部分は脊髄腹側に存在することが明らかになった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Nakayama, K., Nishimaru, H., Kudo, N.: "Basis of Changes in Left-Right Coordination of Rhythmic Motor Activity during Development in the Rat Spinal Cord"The Journal of Neuroscience. 22(23). 10388-10398 (2002)
-
[Publications] Nakayama, K., Nishimaru, H., Kudo, N.: "Developmental Change of Commissural Inputs Coordinating Left/Right Rhythmic Activity in Fetal Rat Spinal Cord"The Japanese Journal of Physiology (Supplement). 52. S163 (2002)
-
[Publications] Nishimaru, H., Nakayama, K., Kudo, N.: "Localization of the Rhythmic Pattern Generator in the Fetal Rat Spinal Cord"The Japanese Journal of Physiology (Supplement). 52. S162 (2002)
-
[Publications] Nishimaru, H., Nakayama, K., Kudo, N.: "Roles of Gap Junctions in the Rhythmic Generating Network in the Spinal Cord of the Rat Fetus"Neuroscience Ressearch (Supplement). (In press).
-
[Publications] Nakayama, K., Nishimaru, H., Kudo, N.: "Localization of Neuronal Networks Generating Rhythmic Activity in the Fetal Rat Spinal Cord"Society for Neuroscience Abstract. (2002)
-
[Publications] Kudo, N., Nishimaru, H., Nakayama, K.: "Developmental Changes in Rhythmic Spinal Neuronal Activity in the Rat Fetus"Progress in Brain Research. (In press).