2001 Fiscal Year Annual Research Report
疾患モデルマウスを用いた糖尿病の成因・病態生理の解明
Project/Area Number |
12480249
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00212952)
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Keywords | モデル動物 / 糖尿病 / 肥満 / 量的形質遺伝子座 / インスリン分泌 / 膵β細胞 |
Research Abstract |
我々は、疾患モデルマウスの解析を通して、ヒト糖尿病の成因・病態生理の解明をめざしている。そのひとつとして、常染色体優性遺伝形式を示す糖尿病モデルAkita mouseの原因遺伝子Modyが、インスリンのA鎖とB鎖間に存在するdisulfide結合の形成に関与するシステイン残基をチロシン残基に変える変異によることを同定した。本研究は、この変異インスリンが膵β細胞にどのような影響を及ぼすかを解析して、インスリン遺伝子異常症に伴う糖尿病の発症機序、病態生理の解明につとめる。これまでの解析より、変異インスリン蛋白質の折りたたみの異常により、小胞体ERからGolgi装置への輸送がブロックされ、細胞内で蓄積・破壊されることが示された。より詳細な変異インスリンによる膵β細胞障害の機構を解明するために、膵島、もしくは正常・変異プロインスリンを別々に発現させたCHO細胞株を用いて、プロインスリンの細胞内代謝や輸送効率を解析している。具体的には、プロインスリン分子内・分子間のdisulfide結合の形成、プロテオソーム阻害剤の細胞内ターンオーバーへの影響、他の分泌蛋白質の細胞内輸送効率、などを解析している。また、これとは別に、肥満を伴うヒト2型糖尿病モデルであるTSOD(Tsumura, Suzuki, Obese Diabetes)マウスの遺伝学的解析も行っている。我々は、本マウスの肥満・糖尿病が多因子遺伝性で、それらに関する量的形質遺伝子QTLs(quantitative trait locus)の染色体局在を同定した。本研究は、コンジェニックマウスを用いた遺伝学的解析と、ゲノムリソースを有効に生かした候補遺伝子解析を併用して、TSODマウスにおける、QTLsの実体の解明を目指している。現在、各QTLに関するコンジェニックマウスを用いて、その局在領域を限定する作業を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Negishi M., Lu D., Zhang Y., et al.: "Up-regulatory expression of furin and transforming growth factor β by fluid shear stress in vascular endothelial cells"Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol.. 21. 785-790 (2001)
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[Publications] Sawada Y., Zhang B., Okajima F., et al.: "PTHrP increases pancreatic β-cell-specific function in well-differentiated cells"Mol. Cell. Endocrinol.. 182. 265-275 (2001)
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[Publications] Yi Z., Yokota H., Torii S., et al.: "The Rab27A/granuphilin complex regulates the exocytosis of insulin-containing dense-core granules"Mol. Cell. Biol.. 22. 1858-1867 (2002)
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[Publications] Zhao S., Torii S., Yokota-Hashimoto H., et al.: "Involvement of Rab27b in the regulated secretion of pituitary hormones"Endocrinology. (in press). (2002)